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ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

夜回り先生≒松岡修造さん、という意見

医療

話題になっているこのブログを見て、正直悲しくなった。
・リンク → こころの病は、からだから|夜回り先生は、今!(水谷修ブログ)
夜回り先生のことは、記事やら何やらで見て知っている。
夜回り先生 いじめを断つ
この人の生き方や、やっていることについて、とやかく言うつもりはない。
ただ、文章がうまくて、生き方についての信者がいる人が、
しかもカウンセリング的なことをやっている人が、
無知が故に精神疾患患者をバカにしているのが悲しくてならない。


何度も書いているので今更隠すつもりも自慢するつもりもないが、うちの嫁は精神疾患だ。
・リンク → 精神病で死ぬということ - わかりやすさを、コーディネート
自分も以前、精神疾患で倒れて会社を休んだ。
・リンク → 元精神病夫、現精神病妻 - わかりやすさを、コーディネート
だから分かるし、だから何度も書いているんだが、
精神疾患は「気の持ちよう」ではない。
立派な病気だ。


この人は、精神疾患を知らない。
多少語弊があっても、これは断言していいと思う。

私のもとには、ずっとこころを病んでいるたくさんの人からの相談が来ます。

とあるので、実際たくさんの人の相談を受けているのだろう。
そして、たくさんの人を傷つけている(下手すりゃ殺して)んじゃないかと思う。

原因と結果

精神疾患にも色々あるが、このブログで出ている症状は鬱病のそれが多い。

  1. 自分に自信がない。
  2. それまでの経験から、他人を信じることができず、すべてを抱え込んでしまう。
  3. 昼は、できる限り、動かず、そして、人との接触を避ける。
  4. 夜は、ただひたすら、悩み苦しみ、ネットやメールで、見えない相手とつながろうとする。
  5. いつも、自分のことだけを考え、人のことを考える余裕を失っている。

このうち、2.は「原因」に当たるものかもしれない。
でも、1.3.4.5.はどちらかというと「症状」に当たる部分に見える。


抑鬱症状(鬱のような状態。鬱病を発症していたり、前駆的な症状も含む)では
ものすごく気だるい感覚が出て、動けなくなる。
「面倒くさいから動かない」とか、「××したくないから、動かない」ではなく「動けない」
これは別に怠けているわけじゃなく、頭は暴走したような状態でぐるぐる回っている。
ちょうどパソコンがフリーズしたような状況と考えると近いんじゃないかと思う。

Bluescreen / flickrsven

同じ所をぐるぐるぐるぐる回って、何の出力も出ないから、
パソコンを使っている側からしたら「止まっている」ように見えるが、CPUは100%近く動いている。
この「脳の暴走」が鬱の症状なんじゃないかと思っている。


付け加えておくと、
「昼は、できる限り、動かず、そして、人との接触を避ける。」
というのは「人との接触を避ける」のではなく、単に動けない場合も多いはず。
でも、風邪や怪我でも無いのに「なんで寝てるの」と言われ続けると、
自分の中で理由を作って「人に会いたくないんです」と回答する場合もあると思う。
回答したから、その言葉が本音だ、とは限らない。

病気は根性では治らない

問題はこの後。
「こんな症状がある人は、こうしたら良い」という提案部分。

1.昼間、ともかく徹底してからだを動かす。10キロ以上は、歩き、美しいものにふれる。
 ともかく、昼間くたくたになるまで、からだを疲れさせる。そして、三食をきちんと食べる。
2.すぐに、インターネットや携帯電話、メールの機器を、捨てる。

はっきり言いますよ。死ぬわ。誇張でも何でも無く。


嫁は、家で一日寝ていることが多い。
別に何かしているわけじゃない。
寝ている。
そうでなくても、鬱の人の朝は遅い。それは病気からのものと、薬の副作用と、両方が原因だ。
これを無理に起こすとどうなるか、人にもよるが、立つこともままならないこともある。
こんな状態で歩けるか。
まっすぐすら歩けないこともある。こんな状態で外を歩けるわけがない。
そんな人間に毎日何キロも歩かせることができるか?
歩けるわけがないし、それができないことがより心理的なストレスになり、症状が悪化する。
鬱の症状には、休むのが一番だ。
美しい物に触れる、好きなことができるならやる。それは大切。
でもね、そういう余裕なんか無いんですよ、病気の時は。
好きな作家の美術展に行くと、一枚の絵の前で衝撃を受けて30分も動けなくなるような嫁が、
絵を見ることもできなくなって布団の中に伏せってるわけですよ。

Image 13 / libbyrosof
  ※嫁の好きな作家「フリーダ・カーロ」の絵の一例
まぁ、そんな病的な感受性が病気の原因の一因かもしれないけど。
そんな状態の時に何が必要か。
とにかく、まずは休養。
新しいことを無理にやらせるなんて、最悪だ。

改めて、「鬱は病気です」

うじうじと部屋にこもって悩んでいる人は、外に出りゃいい。
そんなのは、勝手にしたらいい。
でも、精神疾患になっている人は、できることをしたらいい。
無理をしても、何も良いことはない。
以前に書いた喩えが評判良かったので再掲するが、「鬱とは心の骨折」だと思う。
・リンク → 鬱について - 2:鬱から見た世界 - わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 鬱について - 3:鬱の治し方 - わかりやすさを、コーディネート
鬱に限らないが、精神疾患に「気の持ちよう」「頑張れ」というのは、
骨折した足で「走れ」というのと同じだと思う。
そりゃあんたは走れるかもしれないけど、骨折しているなら、まずギブスをはめて休養するでしょ?

Cast no. 2 / Rev Stan

精神疾患も同じで、多くの場合は薬を飲んで休養するのが、一番の療養だ。


このブログで一番問題だと思ったのは、精神疾患の薬を軽視していること。
「風邪は根性で治す」的な発想を持ち込まれると、本気で生死に繋がる。
うちの嫁が今現在生きているのは、かなり際どい綱渡りを乗り越えてきた、という自負がある。
もしこれが、30年前、50年前で薬がなかったら?
うちの嫁はもう死んでいるだろうし、自分自身も看病疲れで精神疾患になり、自殺していたかもしれない。
奇子(1) (手塚治虫漫画全集 (197))
手塚治虫作品では「気狂い」や「座敷牢」が出てくる。昔は精神疾患への対応は「閉じ込める」しか無かったことが分かる
副作用はもちろんあるが、今の薬は以前より効くし副作用も小さくなっている。
そしてそれを気軽に変えてはいけない。
・リンク → おくすり110番・・病院の薬がよくわかる


断言するけど、こころの病気を持つ人は、この人に相談するなら、すぐ病院に行った方がいい。
家族の同意を得られない人もいるだろう。
それならこのブログの「医療」タグを見せてくれたらいい。
このブログはそのために書いている。
医者が合わない人は転院したらいい。
アメリカでも「精神病は5回まで転院可」としている。
セラピーやカウンセリングが発達していない日本では、医者も薬を出すだけになりがちなのは否定しない。

medicine / taiyofj

色々な治療法を当たるのは構わないが、その中に医者は絶対に入れるようにした方が良い。
夜回り先生のファンの方もいるだろうし、彼の生き方ややっていることは肯定するつもりも否定するつもりも無い。
でも、精神疾患をよく知らない人があまり無責任なことを言わないで欲しいと思って、思わず書いてしまった。

繰り返しますが、精神疾患死に至る病です

精神疾患は、死に至る病気です。
それは気の迷いでも、根性の話でもない。
例えば、交通事故で全身打撲を受けて死にそうと言うときに、あなたは誰を頼りますか?
家族?友人?
いえいえ、まずは医者でしょう。

雪の中、救急車は行く / fukapon

精神疾患も、そういうことですよ、ということ。
夜回り先生に頼るということは、交通事故で死にそうなときに、
松岡修造さんやアニマル浜口さんに頼る、ということ。

治ると思います?