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ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

電子書籍が本当に普及したら

ビジネス案

今年は電子書籍元年らしいですよ。
いろんな記事によると。
もう、「三年連続、5回目」ぐらいの感覚だけど。
日本でもKindleが発売されたことだし、いい加減日本でも普及するのかね。
Kindle Paperwhite (2012年モデル)ちなみに自分はまだ持っていません。


周りの友人が複数持ち始めるとさすがに「そろそろ普及するのかな」と思う。
とはいえアーリーアダプターが多いので、一般の感覚とずれていることは否定しない。
Xbox360 とか W-Zero3 あたりは、自分の周りだけで言えば大ヒットですから。
Xbox 360 250GB バリューパック【CEROレーティング「Z」】【メーカー生産終了】

電子書籍が普及するとはどういうことか

電子書籍が普及する」とはどういうことか。
電子書籍が読める、ということなら既にガラケーでもスマホでもタブレットでもパソコンでも
読めるし、サービスは既に乱立しすぎて訳が分からない状態。

小さい字の本も自炊すれば20インチ縦置きディスプレイで読める / h_okumura

その結果電子書籍専用端末の販売台数」が普及台数の指標のように言われることがあるが、
電子書籍事業は端末を売っても儲からない。
だから電子書籍端末が台数的にある程度普及して、その結果電子書籍(データ)がたくさん売れたとき」
電子書籍の普及したときなんだな。
うん?まだまだ遠くないか?


事業的に考えると、電子書籍って別に端末売らなくたって良いんだけど、
実際には各端末がサービスを囲い込んでいるから、まずは端末を売らなければ始まらない。
各社は音楽業界がiTunesに囲い込まれて痛い目を見た反省に、
今回は自分がプラットフォームを作り、支配しようと頑張っている。

itunes gift card / 401(K) 2012

それが今の乱立を生んでいる。
まぁ、今回は日本の出版社について書くつもりも無いのでこの話はこれで終わり。
今回はサービスじゃ無くて、主に端末の話について。

電子書籍は活字向け?

自分は今のところ電子書籍にあまり興味は無いんだけど、 
その大きな理由に「マンガに向かない」というのがある。
電子書籍端末はどれも1ページ表示に向いたサイズ。

Kindle 3 / kodomut

だから、見開きが表示できない。(できたとしても小さく表示される)
小説等ならテキストデータさえあれば、段組を気にしないことも多いだろうが、
漫画の場合は「見開き」「めくり」など、「2ページ見開き構成を前提にした技術」があり、すごく重要だったりする。
また、活字よりもデータ量の多い絵のデータをサクサクと開いていかなければならない。
この辺、今の電子書籍と漫画はすこぶる相性が悪い。


もちろん、電子書籍での配布を前提にすれば新しい表現技術も出てくるだろう。
実際に村田雄介さんは「ワンパンマン」で、ネット公開を前提にした表現を多用している。
・リンク → となりのヤングジャンプ : ワンパンマン
(逆にコミックスではコミックスならではの技術に挑戦している。本当、この人の探究心はスゴイ)
ワンパンマン 1 (ジャンプコミックス)ワンパンマン 2 (ジャンプコミックス)
でも過去の名作の良さを殺す電子書籍なんて、わざわざ使おうと思わない。

漫画用、見開き電子書籍

電子書籍を漫画向けにする解決策はシンプルで、二枚構成にしたら良い。
今の電子書籍と同じ大きさで、折りたためる二枚構成。読むときには本のように開いて使う。
技術的には難しくないし、今なら独自性もある。ついでに壊れにくい。


「どこどこの電子書籍端末が安いから、普及が進む」なんて話題があるが、
端末だってまだまだやりようはいくらでもある。
今の段階で価格競争になるなんて、もったいない。
「E-inkの性能で表示能力が決まるから、端末側に差別化のポイントは無い」なんてのは幻想でしか無い。

Hi-resolution watch face / taiyofj

確かに長時間活字を読むならE-inkの発色性が重要かもしれないが、
漫画なら長時間見て目が疲れないことより「素早く動くこと」がまず重要。
(必須ではないが、特に数多く出ている、アクションの多いマンガではテンポは重要だろうと思う)
それなら液晶の方が向いているんじゃないかと思う。

端末で儲けられないって、本当?

電子書籍は端末で儲けられない」と常識のように言われるが、本当にそうだろうか。
もちろん主戦場である活字ではそうだ。
でも、みんなが読んでいるのは小説だけだろうか?
新聞ならある程度の情報を一覧できる「サイズ」は重要だし、
雑誌ならそこに発色性などのデザインも加わる。
漫画は上に挙げたとおりだが、
写真集や美術書なら重さや値段よりもとにかく「キレイさ」が一番のキーになるだろう。


「たくさんの本を一台の電子書籍にまとめられる」電子書籍の定番の売り文句だし、
実際それは便利だと思う。
でも、一人が持つ電子書籍が一台だけである必要は無い。
電子書籍が普及したときには、ニッチな市場向けの「マニアックな電子書籍があって然るべきだろう。
シャープはガラパゴス電子書籍販売から一旦手を引いたが、
電子書籍が普及したときにはIGZO液晶を搭載した「高精細電子書籍への一定の需要は絶対にあると思う。
(とはいえ今出すとちょっと早すぎる。出すなら電子書籍が普及した後。3〜5年後ぐらいかな)

電子書籍は何を買っているのか

もう一つ、電子書籍で嫌いなのが「権利を買う」という仕組み。
電子書籍では多くの場合、データそのものを購入するのでは無く、「データにアクセスする権利」を買う。
だから、サービス事業者がユーザーを使用拒否としたり、
サービス自体の提供を辞めると、そのデータにアクセスできなくなる。
実際にAmazonでアカウントを凍結された人は過去に購入した書籍を読めない、という事例が出ている。

楽天kobo / uka0310

↑例えば楽天kobo取り扱いに伴い、従前のサービスを停止し、そのサービスで購入した書籍は読めなくなった。
個人的には、そんなもんに高い金を払いたくないという気持ちがある。
別に所有したい欲があるわけじゃないし、「アクセス権」だけならもっと安くして欲しい。


この辺、以前に書いたので詳細はそちらに譲るが、
一つの提案としては「一回読むだけの利用料を安く売れないか?」
・リンク → 新ディスプレイ考・4:みんなが嬉しい電子書籍 - わかりやすさを、コーディネート
例えば一冊のコミックスを書籍として買うと500円だとする。
これが電子書籍だと400円だとする。
でも、それを「一回だけ読む利用料」を10円とか20円で売ってもらえないだろうか
途中までしか読まなくても、一回は一回。もう一回読むときはまた払う。
手元には何も残らない。
そういう「従量課金制」にしてもらえば、いつサービスを止めても、いつ使用拒否にされても痛くない。
これが一番平和的で、お金の回る仕組みだと思うんだけど、どうだろうか。
電話だって、回線を買うわけじゃなく、使うときに使った分だけ払うでしょう?
仕組みも使い方も全然違うけど、書籍だって読んだ分だけ払うようにできないかなと。
安くなると、気軽に読めるというメリットも出ると思うんだけど。

まだまだ現役、ピンクの公衆電話。自分の指は今でもかけ方覚えてるのかな? / kayakaya

というわけで、来年あたり、また電子書籍元年」が来るんですかねぇ。
今から言うと鬼に笑われそうだけど。
個人的にはマンガ専用端末と、利用料課金サービスが出たならたぶん買いますよ。
それまではまだ単行本で。いい加減置く場所も大変なのは事実なんだけど。