ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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二十代が白票を投じれば、街宣車は沈黙する

政治家を目指す友人を見て、選挙における街宣車の重要さを初めて知った。
「なぜ投票しましたか」
という理由はアンケートなど様々な手段で調べられているらしいが、その結果には
「支持政党だから」「政策が納得できるから」
といったものから
「よく街宣車を見かけたから」「昔、卵を貰ったから」

E.G.G (鶏卵) / onigiri-kun

なんてものまである。(本当にある)
どんなに政策を練り上げて、正しく相手を説得しても、
キレイなポスターを作って、街中で声を張り上げても、一票は一票。
それなら、その一票をどう稼ぐかを考えることが選挙運動のキモになる。
・リンク → 中から見た公職選挙法と「センシャ」 - わかりやすさを、コーディネート


公職選挙法上は明確に接待や飲食の提供が規制されているが、
それでも「選挙事務所でどれだけ旨いメシを出すか」を投票の基準にするような人がいるらしい。
ナニワ金融道(10) (講談社漫画文庫)(この辺の話はナニワ金融道でも取り上げられていた)
「うちの近くのポスターは貼るのが遅かった。お宅はうちの町を軽視している!」
というクレームが入ることがあるらしいし、
「オレにだけビラを配ってくれなかったから絶対に投票しない」という方もいる。
そのどれもが同じ一票なのだから、政治家が人気商売で細かなことを気にしなければいけないと言うのはよく分かる。

「多数」になびくのが、選挙

選挙は「多数決」だ。
投票権が男性にしか無い時代なら、女性の権利を向上する意見は票に繋がりにくかっただろう。
それなら、男性の地位を向上するような政策が受けたのかもしれない。
実際に今回のアメリカ大統領選挙では、白人層の支持を得たロムニー氏が負けたことが話題になった。
移民大国アメリカでは、白人人口がアメリカの大多数では無くなったということを示している。
では現在の日本ならどうか。例えば年齢別に見ると、若者は選挙に行かない。

・リンク → 年代別投票率の推移 | 公益財団法人 明るい選挙推進協会
高齢化社会が進み、高齢者が増えている」と言う前に、
圧倒的に若者が投票していない現在、若者に喜ばれる政策を出したところで票に繋がらない。
だから、若者に目を向ける政治家は少なくなるし、いたところでなかなか選挙に勝てなくなる。


実際に、先日の東京都知事選では20代・30代の支持を集めた東国原氏が石原都知事に負けた。
年代別支持層
投票結果
・リンク → Shuhei's soliloquy: 東京都知事選と年代別得票数
東京は流入人口の多い都市なので、実は人口が一番多いのは30代。
実は都知事選だけ見れば、高齢化なんぞどこ吹く風だ。
しかし20代、30代の投票率が低いため、高齢者の支持を集めた石原氏に大差を付けられる結果となった。
多少投票したところで大勢は変わらなかったかもしれないが、
少なくともこうして「若者は投票しない」と思われると、ますます政治は「若者軽視」になる。

文句があるなら、白票でも良いから投票を

「でも納得できることを言っている政党が無い」というなら、白票でも良い。
「白票なら、投票しなくても一緒じゃ無い?」と思うかもしれないが、全然違う
投票しないのは、政治に無関心だと思われるので、これから先も投票しない人の意見は無視される。
しかし、白票は「自分たちの納得できる政治家(あるいは政党)が無い」という明確なメッセージになる。

投票済証 / sekido

政治家として「無効票」は、政治への関心があるのに特定政党に投票していないという意思がはっきり分かる。
その年代の投票率も向上するので、その層をターゲットにした政策を考える必要性も上がる。
無効票というアクション自体が訴えることも、実は色々ある。


自分は今まで投票を欠かしたことは無いし、どちらかというと政策をきちんと比較して、
考えて投票していたほうだと思う。
だから、名前を叫んでいるだけの街宣は大嫌いだった。
まだビラを配るなら良い。でも叫ぶだけじゃ迷惑なだけと思っていた。
斉藤和義もそう歌っている。ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
みんな迷惑だと思っているし、そんな事をする人には投票しない、と思っていた。
でも、違う。
街宣をたくさんする候補者に投票する人が、多分、それなりの数だけ、いる。
だから、やる。単純な話だ。
今のやり方に納得できないなら、投票しよう。
みんな街宣してるから、誰にも入れたくないなら、白票でもいい。

Notitle / contri

無効票が増え、調査されて、その理由が「街宣がうるさいから」となった時、日本から街宣車が消える、かもしれない
企業にとって、一番ダメージの大きいネガティブキャンペーンは、「不買運動」だが、
政治家にとってのそれは、「無効票」だ。
嫌いだからこそ、選挙に向かう。
街宣を無くす一番の方法は、街宣を嫌いな人が投票所に向かうことなんだなと、選挙を見ていて思った。


街宣者が走らない時代になれば、立候補者も政策論争する時間が取れるし、そういう場をもっと作らなければいけない。
今よりは考えて投票しやすい時代になると思うんだけど、どうだろうか。
当然、公職選挙法も変えることになるだろうし。
結局はなんでも、「国民の総意」に基づかなきゃならんということてすよ。面倒くさいけどね。
現在投票に行っていない20代〜40代がちゃんと選挙に行って、
納得できない人がみんな白票を投じれば、白票は「最大勢力」になる、かもしれない。
・リンク → ネット新党「白票」、今日にも立ち上げ 400議席超も視野
不満のある若者は、この記事を事実にして、虚構新聞社主を土下座させたら面白いと思うよ。
虚構新聞、大好きです)

追記 2012年12月05日 7:15

初めてのホットエントリー入りで多数反応を頂いて驚いています。
ありがとうございます。
ただ拙い表現で多数の誤解を生んでいるようなので、一点だけ補足させてください。


選挙に関しての対応には次の4つがあると思います。

  1. 一番良い(あるいはマシ)と思える人に投票する
  2. 一番良くないと思う人の対抗馬に投票する
  3. 無効票(白票など)を投票する
  4. 投票しない

今回のエントリーは「『4』なら『3』の方がマシじゃない?」
というつもりだったのですが、批判コメントは
「『3』なら『2』の方が良いに決まっているだろう」
という意見が多数でした。


もちろん意見があるのならそれを表明する方が良いに決まっています。
私も過去「1」か「2」でしか投票したことはありません。
しかし現在、数字で見れば20代の50%前後が「4」なわけです。
まずはこの数字を改善することが大事なのではないか、という意見でした。
投票に行ってもいない人に、「嫌いな候補者とそれの対抗馬」と言ってもハードルが高いんではないかと。
都知事選では年代別支持層まで分析されていますが、選挙管理委員会から公開される
公の数字はあくまで年代別の投票率です。
まずこれが変われば、立候補者側も
「最近、20代の投票率が上がっているからここの考え方を分析しないと」
とならないかな、夢見てみました。


言ってる内容が極端から極端に走っているのは私のブログのいつもの書き方です。
「そんなの夢物語だ」は他のエントリ見て頂けばもっと夢物語ばっかりだったりします。
何にせよ、文章がもっとうまくならないといけないと反省することしきりです。