ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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パンに学んで、おにぎりを再発明する

米の消費量が減っているというのは再三ニュースになっている。
どの程度減っているのか、まず数字を集めてみる。

米の消費はやっぱり減っている

・リンク → 日本の食糧事情|ごはんを食べよう国民運動―ごはんを中心とした日本型食生活のよさを見直しましょう
このページの資料によると(ページ下部)、米の消費量は1962年から半減
半減って凄いな。
直近では90年→00年の10年間で70kg→60kg10%超の低下。
これでも結構大きい。

CA390186 / jarumcaster

米を食わずに、何食べてるの?

では何を食べるようになったのか?
「パンの消費が米を越える」というニュースがあったので、こちらも調べてみた。

食パン焼けた / S_e_i

・リンク → くらし☆解説 「パンの消費額 コメを逆転」|解説委員室ブログ:NHK
こちらは金額ベースなので注意。
データとしてはこちらの方が衝撃的。
1990年から2011年までのたった21年間で、米の消費金額は6.2万円→2.8万円半分以下に低下。
消費量はこの間2/3だそうなんで、金額と消費量が両方減っていると。
こりゃ農家も大変だ。


ところでこの二つのデータ。
それぞれ農林水産省総務省のデータなんだけど、
それぞれ最新の米消費量が約60kg82kgと大きく違うのはなんでなんでしょうか?
まぁ、傾向は出ているから今回はこれ以上触れないけど。


さて、米の消費量が減っているのに対して、パン食はそれほど増えていない。
主食はこの二つだけではなく、麺類などもあるので、「消費が多様化した」という見方も出来る。

今日の麺 / omoon

米の消費はどうやったら増やせるのか?

さて国としてどうする、というややこしい話は置いておいて、この低迷する米消費を増やす方法を考えてみる。
上のリンクから米の不満をピックアップすると、こうなる。

  1. 食べるものが豊富になってきた(消費の多様化)
  2. 作るために時間がかかる
  3. ご飯は太るというイメージがある


上のリンク先では「3」については「ご飯は太りやすいというのは誤解だ」という話をしているが、
「2」については特にフォローが入っていない。
この部分の解説はこんな感じ。

例えばパンはそのまま、もしくは焼くだけで食べることが出来ますが、ご飯は研いだり、炊いたり、よそったりと準備に手間がかかるだけでなく、炊飯器を洗ったりと後片付けも時間がかかる。

「米」と「パン」の比較って、おかしくないか?

でも、よく考えるとおかしい。
我が家ではパンはホームベーカリーで焼いている。

エムケー 自動ホームベーカリー「ふっくらパン屋さん」米粉パン対応<1斤タイプ> HBK-100

エムケー 自動ホームベーカリー「ふっくらパン屋さん」米粉パン対応<1斤タイプ> HBK-100

これが、結構面倒。
ご飯の原料はだけだが、食パンは小麦の他にもイースト菌やら牛乳やらやら、
色々な材料を入れる必要がある上に、発酵食品なので焼くのにも時間がかかる。
保存性の高い原料(米)の状態から、食べられるまでの時間で言えば、米はパンよりもの凄く優れている。


つまり「米」「パン」を比較するのは土俵が違う、ということ。
「ご飯」「パン」を比較するべきであって、「米」と比較するべきなのは「小麦粉」になるんじゃないか。
そう考えると、コメの消費低迷対策も見えてくる。
朝ご飯に準備時間が足りないのなら、パンのようにすぐに食べられるご飯を作ればいい。

手軽にご飯、という商品軸

そんなことを考えていると、正にイメージ道理の商品が発売されるらしい。
・リンク → 新スタイルおにぎり:冗談? 実用!? タカラトミーアーツ「スマート飯」9月13日に発売予定−ITmedia ガジェット
スマート飯 menスマート飯 women


写真や紹介ページはタカラトミーらしく、どこまで本気か分からないが、
「汚れるのがイヤ」「片手で食べたい」
といったニーズを満たすご飯、というとそれは「米」の仕事じゃなく「ケース」「包装」の仕事になる。
その意味で、この商品のコンセプトは真面目に米の消費対策になると思う。

「米農家」がいくら頑張っても、米の消費対策にはならない

結局はそういうことだと思う。
日本の米の品質は、確かに世界一かもしれない。
でも、「米」からの調理が当たり前、と考えている日本ではご飯の加工はほとんどなされていない。唯一の成功は、「おにぎり」だろう。

Onigiri / jczart

あれだって、当初は「おにぎりなんて家で簡単に作れる物を、わざわざ外で買うなんて」というイメージだったらしい。
そう考えると、ご飯の商品開発力は、後発で創意工夫を懲らしてきたパンには遠く及ばない。
コメの食べ方で言うと、おにぎりと寿司、海苔巻きあたりが「食べやすい」方法だろうか。
それに対して、パンは堅さ・甘さだけでも色々な生地があるし、中に入れる物は餡からカレー、焼きそばまで多岐にわたる。
(最初に焼きそばとか、コロッケを入れた人は本当アタマおかしいと思う)
米の消費対策として本当に有効なのは、食品メーカー各社がこういった「ご飯の食べ方」を提案することじゃないか。


現状は米粉を提案しているが、これなんか原料の再発明で、なんとも「米」を基準に考えてるなぁと感じる。
食べ方を新提案すると言えば、例えばモスバーガー「ライスバーガー」

100_3878 / misawakatsutoshi

ああいうのが、「ご飯の新しい食べ方」だろう。
(ちなみにライスバーガーはメチャメチャ旨いです)
あの平たくしたご飯部分だけを商品にしたらどうか。
平たくしたご飯を冷蔵庫に入れておき、朝起きたら、ご飯の間に好きな物を挟んで食べる。
そんな朝食なら、忙しいときでも食べられるし、挟む物で色々なアイデアが出てくる。
「コメは和食」という固定観念から外し、新しい提案が出来れば、
これだけ安くて良い材料があるんだから、コメの市場拡大なんて全然出来ると思うんだけどなぁ。


結局コメの消費低迷って問題視して、対策するルートが農水省−生協−農家という流れなのが一番の問題じゃないのかな。
対策する人が食品メーカーなり、おもちゃメーカーなり、コンビニ各社なら、なんかいくらでもアイデアが出ると思うんだけど。
とりあえず目標は、「炊飯器がない家庭があってもおかしくない社会」かな。
そんなぐらい、「ご飯」の様々な商品を手に入れられる、という意味で。
コンビニの次の戦略としてどうかな。
国の方向性ともつながるし、「パンのように食べられる」ということは保存性を上げる方向の開発になるからコンビニと相性が良いし。