ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

全てを記録するときに、必要なモノ

「人生の全てを記録する」という荒唐無稽に感じるだろうか。
生活の全てを記録してしまえ、という考え方はライフログと言われる。
・リンク → ライフログ−Wikipedia


データの保存にかかるお金は、ほんの少し前と比べてもとても安くなった。

The Storage (Long) Tail / dottavi

今ではネット上の無料ストレージでもGB単位で簡単に借りることが出来る。
では、自分たちが生きている中でのデータはどれほどの分量になるのだろうか。
文字なら生涯通じてでも1GBもあれば余裕で足りる。
試算によると、目で見る・聞いた物のうち、閲覧した本や音楽などを対象にすると
一生で3TB(テラバイト)程度、生活全てを動画記録すると一日で500GB程度になると言う。
(数字はWikipediaより)

ライフログは技術の既定路線、なのか

とりあえず現段階ではライフログの考え方は
「おまえ、そんなに自分が好きなの?」
という程度の感覚にしかならない気がする。


でも、データの保存がもっと安くなり、保存が簡単にできるようになるとどうだろうか。
例えばこの記事。
ライフログの元のネタは、日経サイエンス2007年6月号にあった記事だ。

日経サイエンスは定期購読しているが、保管スペースの問題で、我が家では2年を超えた雑誌は廃棄している。
だから、今回は雑誌の内容を参照できなかった。
保存がもっと簡単に、安く出来るようになれば、雑誌はさっさと自炊したり、電子化すればよい。
町を歩いていて面白い物があったり、他の人との話で
「そういえばこの前こんな物を見たよ」
と言ったときに、意識して保存しておかなければ画像は簡単に取り出せない。
でもライフログがあれば、「この前見たこれ」を簡単に見せられるようになる。


一昔前には、町を歩いている人達のほぼ全員がカメラを持っていて、
それがいつでも見られるなんて夢物語だった。

Mobile phone cameras capture protest moments - #Jan25 Egypt Revolution / sierragoddess

ライフログもそういった臭いがする。
ライフログなんて大層な名前を付けなくても、みんながデータを保存する容量が増えていき、
いつしか「お前保存してないの?不便だなぁ」なんてことになる、ってことじゃないだろうか。

とりあえず撮って、あとから取り出す

ライフログではないが、「後から取り出す」という考え方の商品はすでに面白い物が商品化されている。
[rakuten:shop-sedona:10000427:image][rakuten:shop-sedona:10000428:image]
「lytro」というカメラで、撮像範囲の手前から奥まで、複数のピントを合わせることが出来る。
これだけではなかなか分からないと思うので、下記ページを見て頂けば分かりやすい。
2枚の写真がアップされているが、この写真のどこをクリックしても、そのクリックした場所にピントが合う。
・リンク → 後からピント合わせカメラ Lytro のマニュアル公開、極めてシンプル−Engadget Japanese
このカメラを持っていれば、ピンぼけは解消されるし、撮像時にはなにも考えず
「とりあえず撮っておく」だけで良い。


ライフログ時代にもこんなカメラが要求されるのではないか。
町を歩いた時の風景を全て記憶しておけば、
「あのときにあの交差点で見た面白い看板」
「信号が点滅したときに走って横断していたあいつって高校の同級生じゃね?」
「突風が吹いたときに見えた奇跡のパンチラが!」
なんてのが後から取り出せる。
(最後のは犯罪になるのか?)
この時に「撮る」ことは意識しなくて良い。
面白い物が「目に入る」ように町を歩けば良い。

ライフログ時代に必要な物は、ネット時代に必要になった物

そんな時代に必要な技術やツールは何だろう。
それはネットの黎明期を思い出すとイメージがしやすい。
(二十代の人達は、もしかしたら既にこの時代を知らないかもしれないけど)


ネットの黎明期、Googleが出てくるまで検索の覇権を取る闘いがあった。
Yahoo!,goo,infoseek,altavista等々、人力とロボットが入り乱れて「より良い検索」を競い合った。
ライフログが進んだ時に必要になるのも、データを記録する「機器」と、
データを保存する「ストレージ」、そしてデータの「検索」の三点になるのは間違いないだろう。

自分の過去を、検索する

自分の生活を24時間記録したところで、それが探せなければ意味は無い。
「××の結婚式の写真」といってスムーズにその写真が出てこなければ、
結局は写真の膨大な山の中から必要なデータを探さなければならない。

Wedding Cake / Shelley Panzarella


今までは記録した写真の中からの検索なので、まだその容量はたいしたことは無かったが、
これが「今までの全人生から検索」となると全く話は変わってくる。
少なくとも何も言わずに「結婚式」と検索すれば、自分の人生の中で結婚式に絡む物だけをピックアップ
してくれるぐらいの賢さが必要になる。
では「結婚式」と言うと、それは自分の結婚式なのか?自分が出席した結婚式か?この前見たゼクシィのCMか?
「結婚式」で出てくる情報も人生の中では膨大になる。
友人と話した一言を検索に含みたいこともあるだろうし、それは省きたいこともある。


ライフログの中での検索は、自分の生活の中で流れていった物、
話した内容、雑誌の内容、町の風景、見た映画、子供の表情
それを全部検索対象にひっくるめることを指す。
つまり、町を歩いていた時に目に入った物全てに意味を見つけ、検索タグをつけるということだ。

「撮影」→「記録」→「意味づけ」→「検索」

上にも書いたが、ライフログによる記録は
「撮影」→「記録」→「意味づけ」→「検索」
という順に進んでいく。
現段階はまだ「いかに撮影するか」のレベルを出ていない。

でも、少なくとも携帯電話という撮像機器をみんなが持ち歩いているわけで、
最低限の撮影も、保存も出来るようになっている。


保存は既に出来る。 
あとは値段だけ。


ライフログが必要となる時代が本当に来るのか?というのはこの手の話をする際にいつも問題になる部分。
でも、すでに個々の要素は開発が進んでいるし、画像の意味づけや検索は
現時点でも成功すれば(ライフログとは関係なく)大きなメリットを得られる。
ここまでカメラの話ばかりになっているが、ライフログが対象とするのは「生活全て」
それは目に入った文字をとにかく分析するOCR機能でもあるし、
(これが出来ればレシートを読んで自動的に家計簿を作れる)

Ovation reciept.. / Pacdog

耳にした音楽や、話した内容を自動的に文字に起こすことでもある。
これからの大学生はこんな研究をすれば面白いだろうし、
「儲かるネタが無いんだよ」と抜かすPanasonicSONYなんかは、1000億かけてでも
この辺を本気でやって、Googleが追いつけない状況にでもなれば本気で面白いと思う。


ビジネスにおける「成功」の反対は、「何もしないこと」
嵯峨野鉄道の社長が仰っていた言葉だが、「こんな時代は来ないよ」といわず、どこかが力を入れてやって欲しいなぁ。
そういたオリンパスHMDカメラはどこに行ったんだろうか。