読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

キヤノンがスーツを作ったら

Nikeバック・トゥ・ザ・フューチャー「あの靴」を再現し、2011年に限定発売した。

Nike MAG / Diana Garcia BOG

格好いいよね、あの靴。

Nike Mag. VOL. It's for You McFly! / Instant Vantage

ただ、再現したのは「見た目」だけで、
実はNikeが2009年に特許を申請している「自動靴紐結び機能」などの機能は採用されず。

服は進化していない

自動でフィットする機能も未だに実用化できないと考えると、服ってそれほど昔から変わっていない。
もちろん素材面での進化はすごい。
しかし、例えば服を「保温」という観点で考えると、未だに「いかに断熱するか」という構造から抜けていないし、
暑いときには「いかに汗の発散を助けるか」という観点から抜けていない。
(例外は水で「発熱」するヒートテックなどの素材)

s-RIMG3730 / eiko_eiko

そう考えると、やはり服としては、「進歩」はあるけどあまり「進化」してない気がする。

進化した服の例

例えばその名も空調服という服がある。
よくネタ扱いされているが、発想は単純で、なかなか優れていると思う。
・リンク → (株)空調服 公式サイト、空調服で暑さ対策、紫外線対策、暑い夜には空調ベッドで暑さ対策。
■夏場を快適に!■空調服■【裏地式 綿、ポリ混紡長袖作業服 U?500K】 熱中症対策に! 【カラー】ミントグリーン、【サイズ】4L


考え方はシンプルで、「服」+「扇風機」
「空調」と言っているが、実際は空気を送っているだけ。
汗の蒸発を風で促して、体を冷やすというシンプルな発想。
真夏の屋外や、工場のような大きな空間では、空間全体を冷やす空調が使えない。
工場では局地的に冷やすスポットクーラーがあるが、いかんせん効率が悪い。
TOYOTOMI スポットクーラー TIDS-A20K
そこで、作業者自身を冷やそうというのがこの服だ。
イデアは非常によいと思うのだが、工場にお邪魔する中で、まだ空調服を見かけたことはない。
もっと普及しても良いと思うんだけど。
ただ、これにしても「汗の発散を促す」という従来の発想の展開でしかないとも言える。

電気の通った服

ギーク的な発想としては「何で電気で色々やらないの?」という発想になってしまうのだが、
常識的にはこういった服の電気化が進まない理由はいくつか考えられる。

  • 重たくなる
  • 価格が高くなる
  • 汚れたときに洗いにくい
  • 固くて着にくくなる(着心地が悪い、動きにくい)


この中でも「高い」は当たり前だが重要なファクターだと思う。
高いと、何着も買えない。
また、服は基本的には消耗品だ。
これは摩耗するという物理的な点でもそうだし、流行という意味でもそう。
ジーンズのようにずっと着られるデザインもあるが、流行を追えば追うほど賞味期限も短くなる。
消耗品には高いお金をかけられないという消費者心理は、至極当然と言える。


ここで普通の流れだと、「いかに安く作るか?」という話になるが、逆の発想は出来ないだろうか。
つまり「一着あったら用が足りる服」という発想。
例えば前述の空調服は、真夏の暑いときのための服だ。
これが、「冷暖房服」になれば、一年を通して使える服になる。

これ一着で、生活できる

普通に生活していれば、服は十着以上は必ず必要になるだろう。
会社とプライベートの服、季節ごとの服、礼服、趣味の服(スポーツなど)。
この組み合わせだけでも軽く十は超える。


だが、例えばTシャツならその違いは表面のプリントだけだ。
(素材感とかベースの色もあるがメインは絵だとする)
それなら、電子ペーパーでTシャツを作り、着るときにデータで絵を出すことは出来ないか?

Kindle 2: Electronic Paper Display / Yutaka Tsutano

電子ペーパーは表示中には電気を使わず、書き込み時のみ電気を消費する。
それなら着るときだけ電源につなぎ、後は普通に着るTシャツとか出来ないんだろうか。
また、こちらは電源が必要だが、例えばペルチェ素子を使えば小型の冷暖房が可能になる。
ペルチェには強度が弱いとか冷やす方向が決まっているとか問題はあるが、原理的には致命的なものはない。


こう考えていくと、複数必要だった服が一着にまとめられていく可能性がある。
特にビジネスならスーツを着なければいけないシチュエーションが多いが、
見た目はきちんとしたスーツで、内部は冷暖房完備なら、それ一着で一年着倒せる。

Cool Biz poster / Joe Jones

こうして切る期間を長く想定していくと、服の価格を上げてもペイできる計算になるし、
一つの服で「消耗部分」「継続使用部分」にパーツが分かれていくかもしれない。
実際、和服は高価なのですり切れると「継ぎ」を入れることが多かったが、
これからの服はあらかじめパーツを交換できるように設計していればよいのかもしれない。
メーカーも、消耗品ビジネスの方が継続して安定収入が得られる。

キヤノンさん、やりませんか?

この発想、現段階で言っている内容は荒唐無稽に聞こえると思うが、
印刷技術と電機の両方の発想があるキヤノンあたりが本気でアパレルに参入すると、
かなり面白いことになるんじゃないだろうか。

Canon EOS 100QD / *嘟嘟嘟*

素材屋でもなく、アパレルでもない電機会社が本気でアパレルを作るとどうなるか。
特にキヤノンは、プリンターという消耗品ビジネスの経験がある。
消耗品ビジネスでは、巨大な投資を行い、他社が真似できないハイエンドな技術を作る。
それを圧倒的な安値で販売し、消耗品であるインクを安く売って回収する。
服ならまず、デザイン性が低く機能性を重視するスーツなどから参入するか、
形が均一なTシャツなどから入るだろう。(上でこの二つを取り上げた理由はこの点)


例えばスーツなら、
「一年着られるエコスーツ」のように売り出す。
価格は5〜10万円
高機能でも、決して目玉の飛び出る価格にはしない。
ただし、電気回路の問題もあり「洗濯不可」とする。
一定期間使うと「キヤノンに送ってメンテナンスしてもらう」という作業が必要になる。
メンテナンスではクリーニングと、摩耗部分の交換をしてもらえる。
メンテナンス費用は1万円程度だろうか。
もちろん日々の摩耗に備えて交換パーツは販売する。
クリーニング店ではキヤノンのスーツ洗えます」というサービスを遠からず始め、
キヤノンはそれに対抗してキヤノン以外で洗濯すると制御ICが停止するシステム」を内蔵するなど
熾烈な争いが裏で繰り広げられる。


以上、キヤノンがスーツを作ったら」というシミュレーションだが、個人的には衣服の電子化は大歓迎。
何着も持つのは面倒なんで、さっさとディスプレイ付きの服一着で生活できりゃいいなと思う。
まぁ、女性陣はそうは考えない人が多いんだろうけどね。
うちの嫁とか。
こういうフリフリした質感とかはいちいち買い換えないと出ない質感だし。

Elastic Strap Zip Back Inside Out Frill Loose Dress / AgathaGarcia

(「フリル」で画像検索して出てきた画像)