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ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

悪の組織は創立何周年?

悪の組織について、ふと気がついた。
悪の組織の評価って、組織が活動を始めて何年かで、評価の方向性がガラッと変わるんじゃないか。


今まで悪の組織ネタを書いてきて、
基本的には「悪の組織は成長中のベンチャーである」というスタンスで書いてきた。

今までの悪の組織論シリーズはこちら。
・リンク → 悪の組織が、滅びる瞬間まで自信満々な訳−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織は、なぜ懲りずに正義の味方に負け続けるのか−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織を傾けているのは科学者じゃないか?−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織は失敗した幹部をどう処置すべきか−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織の目標はなぜ「世界征服」なのか−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 僕が『イーッ!』以外の発言権を得た日のこと−わかりやすさを、コーディネート

その前提条件を省いて考えてみたらどうなるだろうか。


悪の組織は「世界征服事業」がメイン事業なのか、メインの収益構造を持っているのかで
その事業に対しての考え方も変わる。
今回は世界征服をメイン事業にしている組織を前提に考えてみる。

「悪の組織」がメインの団体としてはPRGの「悪の軍団」「魔王軍」などが上げられる。
アニメだとキャシャーン「アンドロ軍団」は明確に世界征服だけを目的にしている。
新造人間キャシャーン ブルーレイBOX<5枚組> [Blu-ray]OVA キャシャーン [DVD](映画は設定がかなり異なるので別)
逆に魔人探偵・脳噛ネウロ「シックス」軍需産業
魔人探偵脳噛ネウロ (1) (ジャンプ・コミックス)
バイオハザードシリーズの「アンブレラ」社は製薬会社とメイン事業を持っている場合も多い。
バイオハザード オペレーション・ラクーンシティバイオハザード リバイバルセレクション

ケース1:悪の組織は創業間もない場合

悪の組織が事業を始めて間もない場合、これは今まで同様
「伸び盛りのベンチャー企業」に例えられる。
人員は急増し、豊富な技術力を背景に征服事業を進める。
メインで事業を行っていて人員も増えている、ということは
常識的に考えて事業は上手くいっているんだろう。
ただ、正義の味方のいる地域では負け続けている、と考えられる。


以前にも書いたが、正義の味方視点では、悪の組織はやたらローカルに攻めてくる。
しかし、この観点で考えると、実は悪の組織自体は広範囲に制圧を進めているのかもしれない。
悪の組織グループは例えば関東全体を制圧しつつあるが、ローカルの正義の味方が近い
八王子周辺だけは負け続けているのかもしれない。
(なぜ八王子かに理由はありません。適当)

「幹部」って、実はそんなに偉くない?

これなら状況は分かりやすい。
ヒーロー物で描かれる悪の組織の「幹部」は、実は「支店長」あるいは「地域統括マネージャー」なのだ。
ヒーロー物では、悪の組織の幹部は毎回負け続ける悲哀のキャラクターとして描かれることが多いが、
彼らも実は「上の方針で勝てない相手と闘って、負けては怒られる中間管理職」なのだ。

係長 島耕作(1) (イブニングKC)

係長 島耕作(1) (イブニングKC)

実際に、スーパーマーケットでもローカルで非常に強い会社があったりする。
北海道のアークス、滋賀の平和堂、大森のダイシンなど、地域に根ざして高いシェアを持った
生活必需品の店は、大手が入ってきてもなかなか切り崩せない場合がある。
こんな地域を「必ず攻略しろ」と言われたマネージャーも大変だろうと思う。


この状況で、悪の組織のトップが負け続ける幹部を放置し続けるのもよく分かる。
はっきり言って、全体の成績が良いから、この地域の状況改善に手が回らないのだ。
これは成長企業ではままある状況で、ミスマッチを認識しつつ、全体最適のために無視している。
それでも日々の生活のため?あるいは理想のため?がんばり続ける中間管理職。
実は「正義の味方の勝利」は、あくまで正義の味方の管轄する
特定の地域の死守、という小さな話なのかもしれない。

ケース2:悪の組織は創立して何十年、という場合

これに対して悪の組織が既に創立して何十年と経っている場合。
これは状況がかなり異なる。
悪の組織はトップの強烈なカリスマによるワンマン体制であることが多い。
創立何十年も経ち、強烈なカリスマがある。
しかも目下の状況は負け続けている。
成熟企業、大組織で良くある病状ではないだろうか。
そう、悪の組織の敗因は、いわゆる大企業病なのかもしれない。


今までの分析でも、悪の組織の開発力や組織力は評価してきた。
しかし、体力バカにしか見えない正義の味方に負け続ける。
その理由は何か。
それが組織に内在する可能性はないだろうか。

悪の組織に見る大組織病

悪の組織には、確かに大組織病の典型的な悪い症状が見て取れる。
一言で言うと、「組織のために動いていない」ということ。
組織が大きくなって仕事が細分化されると、「その仕事」に対して作業が最適化される。
極端な例で言うと、組織の中で話を通しやすくするための書類作成スキルが上がったり、
営業の評価項目である電話の回数や外出件数だけを稼ぐ技術が高まって、「売る」ことに注力しなくなったり。
冷静に周りから見れば「アホじゃないか」と思うような話が、組織のルールでは正しかったりする。
そして、これはどこの会社、どこの組織でもある話だったりする。

Torn paper / michelhrv


悪の組織の科学者は、前にも書いたとおり「自分の作りたい物」を作る。
一個体で強力な兵器を作っても、戦争では役に立たない。
そういった全体最適を考えていない。


悪の組織の作戦は、個別に行われることが多い。
正義の味方は人員が圧倒的に不足しているので、
複数箇所で作戦を実施すれば片方はまず成功するだろうと思うし、
実際それだけの人員はあると思われるのだが、そうしない。
これも全体最適を考えられていない例じゃないか。

組織論に正解はない

一つの組織でも、前提条件を少し変えるだけでその味方は180°変わる。
悪の組織のやり方は正しいのか、成功しているのかは
組織の局地戦を見ているだけではなかなか見えてこない。


個々の戦場の勝敗の前に、大きな目標の場合は戦略が必要だけど、
正義の味方視点はその戦場しか見ていないので、大きな流れは見えてこない。
よく分からないまま戦場に入り、戦術レベルから次第に全体の流れが見えてきて、戦略が見えるようになる。
そういった視点でストーリーを描いたガンダムはやっぱり凄いが、
もうちょっと大局で見た正義の味方の世界はどうなっているのだろう。


ビジネスにおいてもこの考え方は同じ。
本質的に正しい戦略も、間違った戦略もない。
ある会社の、現段階において、その戦略が適切かどうか、があるだけだ。
ユニクロはSPA(製造小売業)で成功したが、アパレルの多くの会社はそれに追従していないし、
無理にしない方が良い会社もたくさんある。

Uniqlo / Shockerz bugs

年功序列は高度成長期には成長を支えた制度だったが、人口減少・低成長時代にはそぐわない。
とはいえ、敢えて低成長を追い求め、積極的に年功序列を導入している伊那食品のような会社もある。
どちらにせよ、日々考えて、変化し続けられるかが重要なのは間違いない。
ある時期に適切だった戦略・戦術も市況の変化や会社の規模によって状況が変わる。
会社のコンセプトを大事にするのは構わないが、戦術を金科玉条としてしまった会社は遠からず行き詰まる。
歴史に学ぶ、というが、ビジネスに携わる人も、歴史や悪の組織に学ぶことも、けっこうある気がするなぁ。