ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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悪の組織を傾けているのは科学者じゃないか?

悪の組織につきもの、といえば科学者(マッドサイエンティスト

Mad Scientist / Christopher Neugebauer

悪の組織を論じるのなら、彼らの役割、仕事ぶりに触れなければならないだろう。
ということで悪の組織論第四弾は「悪の組織における科学者」について。

このブログ史上では一番反応の大きい「悪の組織」シリーズはこちら。
・リンク → 悪の組織が、滅びる瞬間まで自信満々な訳−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織は、なぜ懲りずに正義の味方に負け続けるのか−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織は失敗した幹部をどう処置すべきか−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織の目標はなぜ「世界征服」なのか−わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 僕が『イーッ!』以外の発言権を得た日のこと−わかりやすさを、コーディネート

そもそも科学者はなぜ悪の組織で働くのか

悪の組織の科学者たちはなぜ悪に手を貸すのか。
悪の組織はトップの理念(世界征服など)を実現するための組織だが、

幹部たちがトップの夢の実現に向けた戦略を練るのに対し、
科学者たちは「より強い怪人」「より強力な兵器」に注力していることが多い。


ここに幹部・戦闘員との決定的な違いがある。
幹部、戦闘員はトップと同じ目標を共有しているが、
多くの科学者は自分の研究する環境があるから組織にいるに過ぎない。

科学者の仕事は新規開発

科学者の仕事は怪人や巨大兵器、犯罪のための様々な兵器や装置、道具の開発。
怪人を作りながら兵器を作るなど、悪の組織の科学者は、非常に有能。
科学者からすると、とにかく新しい物を十分な資金と開発環境で作り続けられるほど、楽しいことも無いだろう。


費用面だけでなく、専攻が「兵器開発」「人体改造」など、一般社会で受け入れられない科学者も多い。
そこでしか力を発揮できない偏った能力の科学者に、悪の組織が働く場を提供しているともいえる。

Hello Work (and up yours) / quinn.anya

優秀な科学者が悪の組織を破滅に導く

ところが悪の組織の運営・戦略面から見ると、優秀な科学者が、組織にはむしろマイナスとなる場合がある。
悪の組織では、毎度のように科学者が新しい怪人や兵器を開発する。

IMG_4255 / Travis Hornung

その結果、その機能を試そうとするかのような作戦が練られることも多い。
これは組織としては、良くない。


悪の組織が世界征服を目指しているのなら、その攻略ストーリー(戦略)があるはずだ。
そのストーリーに沿って、計画を練らなければいけないのに
なまじ有効な武器や強力な怪人が作られると、組織の戦力構造が変わるので
それに合わせて作戦を修正しなくてはいけない。
基本的に正義の味方に攻められることがなく、自由に作戦を立てられるはずの悪の組織なのに、
作戦がそれぞれ妙に行き当たりばったりなのは、その戦力を科学者の開発スケジュールに
依存しすぎているからではないだろうか。

優秀であるが故に、困る

科学者が優秀であるほど、問題は根が深くなる。
優秀なので、自分が居なくなると組織が困ることもよく分かっている。
だから、悪の組織の科学者の立場はめっぽう高く、組織のトップの言うことを聞かなくなる。
幹部が「それは無理です」というと怒られるのに、
科学者が「それは無理です」というと、「仕方ない」とか「そこをなんとか」と
トップがお願いするようになる場合も良くある。
科学者が優秀であるほど、組織のトップから制御できなくなっていることがわかる。

有能な科学者を誘拐して働かせる場合もあるが、脅されてクリエイティブな仕事をするのは難しく、
強制労働させられた科学者の作る物はミスがあったり、科学者からの抵抗に遭ったりする。
今まで見た中で一番アグレッシブな抵抗をした開発者はこちら。

悪の組織に求められるのは、科学者ではなく「開発者」

前にも書いたが、悪の組織の敗因の一つに、戦力の逐次投入があると思う。
そして、その逐次投入の一番の原因は、科学者の存在ではないだろうか。
様々な怪人や兵器を投入する科学者だが、一般の戦闘員の戦闘力は滅多に強化しない。
強力な怪人を一体作って、そこに戦力を集中するという大艦巨砲主義のカタマリだ。

1/10戦艦大和 / *Yaco*


悪の組織における科学者は、正確には「研究者」という方が正しいと思う。
自分の好きな研究を行い、その成果を形にして実戦投入する。
科学者にとっての怪人や兵器は、あくまで実験材料であり、それを波及させることで
戦局を有利に導こうといった戦局眼を持っていない。

数の理論が悪の組織を成功へ導かないか?

悪の組織に求められるのは、おそらく「研究者」ではなく、「開発者」と「生産技術」。
よりよい技術を、いかに大量生産し、物量で攻めるかがポイントになる。


ガンダムがいかに強くても、実際の戦局を決めるのは大量生産されたジム対ザクの闘いだろう。
数多く居る戦闘員達を底上げし、様々な破壊活動の成功率を上げることが
悪の組織が世界征服へと着実に踏み出すステップではないだろうか。

ZAKU 2 FZ & ZAKU WARRIOR / Mickphoto

開発は戦略に沿って行うべき

企業の新商品でもそうだが、新規開発は全体の戦略に沿って行わなければいけない。
開発者が「これが面白い」と作った物が良くても、組織が対応できなければ、その良さを生かせない。
この意味で、開発者の権限は組織のトップや企画部門の下にあるべきだと個人的には思っている。


悪の組織の科学者は、組織の意向・方針に沿わない開発も出来てしまうだけの権限を持ってしまっている。
組織の他の部門が小さく、科学者の開発した物に組織が依存している大きさなら構わないが、
ある程度組織が大きくなり、戦略を考える段階になれば、開発サイドも組織の意向に従って貰わなければいけない。
だが古くからの開発の実績・功績があり、能力も高いのでトップとして文句を言ってもなかなか聞いて貰えないのかもしれない。


そう考えると、悪の組織のトップが、科学者の扱いに苦労する様子が見えてくる。
言うことを聞かないが、優秀で実績もあるので首も切れない。
戦闘員や幹部に対しては、気丈に振る舞っているが、トップはなかなか気苦労が絶えない、辛い役目だ。
悪の組織のトップって、結構飲み屋で中小企業の社長さんと仲良くなれそうな気がする。

飲み屋 / sendaiblog