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ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

自動運転を阻む、心の壁

新技術

運転、面倒くさい。
最近は「走る楽しさ」を強調する広告が目立つが、
個人的には走る楽しさをグランツーリスモ以外で感じた事はほとんどない。

グランツーリスモ 5(通常版)

グランツーリスモ 5(通常版)

というか街中で走る楽しさに目覚めたら危なくないの?
どうなんだろ。
そんなことより、早く自動運転、出来ないのかな。

自動運転、やってます。

自動運転は「技術的に難しいから出来ない」と思っているのなら、それは違う。
アメリカでは国防総省国防高等研究計画局(DARPA)200万ドルを賞金にしたレースを2004年から開催し、
200km以上の距離を無人で走破する自動車が既に何台も作られている。
このレースDARPA Grand Challenge)はお行儀良く高速道路を走るレースとは全く違う。
詳細なコースも知らされず、道無き荒野を自分で判断して、かなりの高速で突っ走らなければ行けない。

この話を始めて聞いたときは、「そんなのムリだろう」と思ったし、実際に2004年の完走車はなかった。
ところが翌年は5台が完走。


レースは2007年には「DARPA Urban Challenge」と名前を変え、舞台を荒野から市街地に。

全長約100キロに及ぶコースを、時速約50キロの制限速度と交通法規を守りながら、
交通の流れに乗って、6時間以内に無人かつ無誘導で“安全”に走破する

というルールの下で11チーム中6チームが完走。
1位と2位の差は「一度カーブで路肩に乗り上げた」だけという僅差。


主催がDARPAだけあって目的はもちろん軍事用。
ただ、お金と技術をつぎ込めば、自動走行出来る要素技術は既にあると言っても良い。

一番実用に近い、自動運転車

民間企業では、Googleが自動走行に力を入れていることで知られている。

2010年に自動走行車を開発していることを公表し、その時点で走行距離は22万km以上
2011年には初めての事故を起こしたが、これは「自動走行を切って手動で走行していたとき」というおまけ付き。

自動走行って、何が良いの?

自動走行にはいくつかのメリットがある。
決して「格好良い」だけの技術ではない。
まず運転者が疲れない
プロのドライバーのようなシビアな判断は今後もコンピューター化できないだろうが、
日常の運転では人が行わずに機械に任せるほうが疲れることもなく、確実に運転できる。
疲れないから、居眠り運転も、脇見運転もない。

おやすみ / TomenoNaoki


運転技術も、安定している。
人間なら運転が荒い人もいれば、ゆっくりの人もいる。
自動運転なら、最適な加減速を教えれば、その動作をどの車でも実現できる。
これは急加速・急停止による事故・渋滞の防止や、燃費の向上にも繋がる。
例えば自動運転車同士なら、人間では出来ないような密着状態で運転できるそう。
これなら道路を渋滞させることなく、よりたくさんの車を流すことができる。

良いことずくめなのに、作りたくない

ではなぜ自動運転技術がなかなか実用化されないのか。
技術的な困難や価格面を別にしても、自動車メーカーが自動運転に本気だとは余り思えない。
自動運転に転用できる技術も、現状は「緊急時のブレーキアシスト」程度に使っている。


その理由の一番は、やはり「事故の責任が怖いから」だろう。
人間が運転して事故を起こしたら、運転手の責任になる。
では、自動走行している車が事故を起こしたら?

022_auto_fail.jpg / stupid.fotos

これは考えるだに恐ろしい。
自動車メーカーの責任になるなら、たとえ一台何十万という利益を上げても、そんな利益は事故で簡単に吹き飛ぶかもしれない。
それなら最初から作らない方が良い。
これが自動車メーカーの本音じゃなかろうか。

事故は誰の責任か

この話は、凄く難しい。
公道を走れば100%の安全はないし、交通法規を守っていても、飛び出しがあるかもしれない。

二条城の飛び出しボーイ / senov

しかも、自動車は緊急時の動作に「正解」がない。
機械は緊急停止すれば良いが、自動車が下手に急ブレーキを踏むと後続車両が激突する。
緊急時こそ、「周囲の状況を総合的に判断して」動くことが求められる。
すべての車が自動運転になり、町行く人がみんな無線ICタグを持っていれば危険は最小限になるだろうが、
そんな未来絵図はあまりに荒唐無稽に過ぎる。


既に、Googleカーなどは一般の乗用車より事故率は低いのかもしれない。
少なくとも高速道路を逆走しないだろうし、赤信号を見落としたりはしないだろう。
でも、「あなたが運転するより安全だから、もし事故しても諦めてね」とは言えない。
恐らくは自動車業界として安全基準を設け、「この基準を満たすものは自動運転して良い」みたいな
基準を設けた上、強制保険制度に入らせるしか無いのではないか。

怖いながらも、やらなければ行けない未来

メーカーの人間として、自動車メーカーが安全性を気にして自動運転に本気で手を出したくない気持ちはよく分かる。
とはいえ、Googleのような自動車を扱っていなかった会社が、
良い意味で恐怖心を抱かずに自動運転車を作って、市場に乗り込んでくる未来もそう遠くはないと思う。
自動運転には自動車の技術のみならず、センサー技術や無線技術、
場合によってはインフラを含めた大きな改変が必要になる。
作るのに5年、10年かかるなら、今のように一つ一つのセンサーを新機能として積んで行くことも大事だが、
ゴールとしての自動走行のスペックから、必要な要件を作っていく作業も始めるべきだと思う。

自動運転は誰のため

なぜこんな自動運転が気になるか。
「走る楽しさ」よりも、今の日本で本当に問題なのは「高齢化」対策だと思う。
高齢者の事故は増えている。「急増」と言っても良いだろう。

・リンク → 平成23年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況 - 内閣府
このため自治体では高齢者の運転免許の返上に対して特典を儲けたりしているが、
とはいえ田舎では運転が出来なければ生活はものすごく不便になる。
こういった人にこそ、自動運転が必要なのではないか。
自動走行技術をオールジャパンで創り出せば、高齢者も気軽に買い物に行けるし、
日本の自動車産業が世界でまだまだ強い位置を占め続けられるんじゃないか。
センサー技術は日本にそれなりに揃っているので、技術開発や提携にも障壁は少ない。
是非、本気でやってもらえないものか。

まずは隗より

自動運転技術は、「人がいない」「車線の把握が容易」という理由から、高速道路での導入が検討されている。
実際に高速道路限定の自動走行(オートクルーズ)機能を搭載している自動車もあるし、
ここが一番実用化に近いんだろう。


でも、田舎の高齢者向けなら、「超小型車」からのスタートも考えられる。
高齢者が買い物に行くための小型自動車
制限時速30kmとか、40kmとかの低速でも、老人の外出なら十分役目を果たせる。
低速・近距離なら電気自動車で良いし、低速なので、最悪事故を起こしても被害が少ない。
イメージとしては、例えばスバル360のような。

Subaru 360 (1958) / emrank

あるいはミゼット II、

MIDGET II CLASSIC / w00kie

個人的には日産のコンセプトカー、「PIVO」がこっち方向で実用化すればいいと思う。

Nissan pivo (2) / machu.

街乗り超小型車からの自動運転。
どこの自動車メーカーでも、電機メーカーでも良いからやって欲しいなぁ。


定年を過ぎたのに二時間もかけて山奥まで出かける父親や、
足が悪くて自分では買い物にもほとんど行けない祖母を見ていると、本当に早く作って欲しいと思う。