ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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長屋を作れば車が売れる・・・?

車が売れないと言われて久しい。
以前にも書いたが、特に若者はそもそも免許を持たない人が増加している。
さて、こんな時代にどうすべきか。

・リンク → 時事ドットコム:【図解・自動車産業】国内の新車販売台数の推移(最新)

・リンク → トヨタマーケティングジャパン販促資料

そもそもの車の目的

車は日本の基幹産業であることは間違いないし、車が売れないと日本は傾く。
これは製造業にいると実感する。
ただ、今の、若者向けに車を売るためにやっている数々の販促手法には納得できない部分が多い。

車は、高い

はっきり言うと、今の時代に都会で車を持つメリットは少ない
(我が家ぐらいの衛星都市より田舎では車は必須)
車は購入費だけでなく維持費もかかるし、運転中は他のことが出来ないし、ガソリン代もかかる。
保険料も駐車場もバカにならないんだから、レンタルした方が良い。
こう考えるのは、当たり前だと思うし、実際自分も一人暮らしの頃はそうだった。
土日しか車に乗らないなら、車に乗る、乗らないは考えずに毎週末レンタルしても、車を買うより安い。

佐世保駅 長崎 / islodelba


車の分析資料や販促資料を見ると、頻繁に「今どきの若者は車をステータスと感じていない」とか、
「デートで車を必要と考えない」といった言葉が出てくる。
もう、自分はこういった販促資料のターゲットである「若者」ではないが、
そんな世代の人間でも、これは違うだろう、と思う。
いったい、どこのバブル世代のオッサンが資料を作ってるんだ?と思ってしまう。


車に求めるのは「実利」
その実利を考えると、どうやっても採算が合わないからロマンとか薄っぺらい言葉で誤魔化そうとしている。
金のない若者に簡単に見透かされるような軽薄な宣伝文句が、心に響くわけがない。

モーターショーで感じた、次世代の車

大阪モーターショーでは、5ホールのうち1ホールが「観光案内・カスタマイズ」になっていた。
(1ホールは食品なので、メーカー展示は実質3ホール弱)
カスタマイズ、と言うとマフラー改造やシャコタンやエアロや・・・と思ってしまったが、
行ってみると完全に「キャンピングカー」ゾーン

(写真が下手で申し訳ない・・・)
公式パンフでは「カスタマイズ」とだけ書かれていて詳細が分からなかったので客足は少なかったが、
その分しっかりと見て回ることが出来た。

軽キャンピングカー

軽自動車を改造したキャンピングカーが売れているらしい。
日本RV協会の推計では、2010年度は4028台・218億円だったそうだが、
2011年は震災のために緊急避難的な意味合いも含めて市場が拡大したらしい。
「大手の販売店では、4〜6月の販売台数が前年同期を5割前後上回った。」
とあるから、2012年度は6000台、300億市場になるんじゃなかろうか。
もちろん市場全体から見たらゴミみたいな数字と言うことは変わらない。
軽のスポーツカーとしてヒットしたダイハツ「コペン」だって月産500台の生産能力があり、
発売後一ヶ月での受注は5000台ほどあったらしい。

Copen / Glenn Waters ぐれんin Japan.


軽のキャンピングカーなんて、と正直バカにしていたが、実際に見ると結構でかい
「二人が寝れる」も伊達じゃないと思うし、積む量を気にしなけれ結構アリかも。
一番驚いたのはその価格。
シンプルな改造なら「126万円」!
200万もあればかなりの装備が付けられるんだね〜、知らなかった。

キャンピングカーの実利は?

現在のキャンピングカーは完全な「レジャー用」として販売されている。
だが、これを「実利」に繋げられれば小さいとは言え自動車産業の起爆剤にならないだろうか。

「住む」キャンピングカー

キャンピングカーに住む、というとこんなイメージだと思う。

camping-cars (ARLES,FR13) / jean-louis zimmermann

ただこういう大型キャンピングカーは日本の道路事情に合わないので、今まで全く売れていない。


では、軽のキャンピングカーに住むなら?
小さなキャンピングカーでは風呂やトイレと行った「水回り」装備を省くことで住居スペースを確保する。
そこで風呂・トイレ付き駐車場があれば良い。
イメージはこんな感じ。
駐車場と言うより「キャンピングカー長屋」

キャンピングカーで、安く生活

上にも書いたが自動車産業が大きな産業、ということは買う側にとっても額が大きいと言うこと。
派遣労働などで給与が低いと、日常生活の上に「贅沢な」車を買う余裕はない。
それなら「日常生活に」車を使うようにすれば良い。


世界ではキャンピングカーや船で生活している人達もいる。
写真はイギリスの「ナローボート(narrow boat)」。

narrow boat / steve p2008

イギリスではこういった「水上生活者」推定1万5000人もいるという。
実際に旅行中に頻繁に見かけてかなり驚いた。
彼らも河岸から水道・ガス・電気・インターネットを供給され、郵便物もきちんと届く。
ちなみにこれに住んでいる日本人のコラムはこちら。
・リンク → ボートの中で暮らしたい - イギリス生活情報週刊誌 - 英国ニュースダイジェスト


日本でも同様にすれば良い。
駐車場代なら、設備を多少入れても3万円程度で貸してくれるのではないか。
ワンルームで6万7万の所を3万円なら、月々3万円の節約になる。
しかも敷金・礼金(保証金)も、住居の破損による修理費用がないので安くなるし、
もっと安いスペースがあれば簡単に引っ越しできる。引っ越し代だって不要。
もちろんこれだけで元が取れるわけではないが、旅行に出かけるなら楽しい上に費用的にもメリットがある。
悪くはないんじゃないだろうか。

自動車会社は、「新しい常識」を作れ

今のキャンピングカーは、主に「カスタム」で成り立っている。
自動車会社が現時点でラインナップしているのは、三菱のミニキャブ・キャンパー以外に見当たらない。

・リンク → MINICAB CAMPER の特長 | ミニキャブ バン | 軽自動車 | MITSUBISHI MOTORS JAPAN
(他にあったら教えて下さい)
理由はもちろん売れないからで、過去には売っていた会社もあったが続いていない。


しかし自動車会社には、こういった車を提案し、キャンピングカー長屋を提案するだけの力がある。
都会には古い住居があり、空き家になっていたり、駐車場になっていたりする。
土地はあるのだが、大きな上物(建物)を建てる体力もないため放置されていたり、駐車場になっている。
このスペースを狙って業績を伸ばしているのが「100円パーキング」の各社。

・リンク → パーク24株式会社
しかし簡単な箱と配管だけ作って価格を上げられる、しかも家賃(駐車場?)という安定収入になるなら
駐車場事業から乗り換えたい大家さんもたくさんいるだろう。
むしろ駐車場会社が新商品として提案するかもしれない。

ライフラインは、「ライン」から離れていく

ライフラインはその名の通り、生命線として線で繋がっている物だった。
でも電話は携帯になり、今の一人暮らししている人で、固定電話を持っている人の方が少ないんじゃないだろうか。
連絡も、住所よりむしろメールアドレスの方が確実で早く繋がったりする。
電気だって、何となれば太陽電池を積んである程度までは自給できる。
それなら、次は「住居」だって気軽に移動できてもいいんじゃないだろうか。
こういった新しい動きに乗るのは、最初は身軽な一人暮らしの人間だ。
日本の法律はこういった生活にどこまで対応できるか分からないが、気軽に引っ越しする新しい生活も、アリじゃなかろうか。


個人的には、自動車なんて移動手段として使えればいい派なので、我が家の車もベッコベコのまま乗っている。
どのぐらいかというと、車検に行ったら開口一番「どこから直しましょうか」と言われるレベル。
ただ、みんなが車に乗らないようになると、駅近くとそれ以外の人の流れの差がより顕著になる。
都市圏では既に人が飽和しているので、もっと人が拡散した方が良いと感じる。
その意味では、特に活動的な若い世代が車に乗れば、経済的には良いのかなと思う。
エコかどうかは知りませんがね。
あと、モーターショーに行って、軽のキャンピングカーに単純に驚いたのは事実。
軽という日本独自規格は将来的にはなくなると思うし、そうなったときにこそ、より選択肢の広い
中間層のキャンピングカーの普及に繋がっていくと思う。
新しい車の開発に留まらず、生活まで変えるような商品と提案を、車会社が考えてみてはどうだろうか。