未来のテレビのカタチ・2:欲しいテレビ
昨日から書いている新しいテレビのカタチについて。
では現在の「儲からないテレビ」から、どんな物なら「欲しいテレビ」になるのかを考える。
前半についてはこちら
・リンク → 未来のテレビのカタチ・1:テレビはなぜ儲からなくなったのか
次世代技術の萌芽
iPhone4Sの目玉機能の一つとして出された機能に、音声認識「Siri」がある。
Siri: Help me I am lost / planetc1
Siriは「音声ナビゲーション」サービスだが、単純な応答だけでなく
「キャラクター」があることも分かり話題になっている。
どうも英語版の「Siri」は若い女性、という設定らしい。
これを「Apple流のおふざけ」と見るのは簡単だが、「Apple流の秘書サービス」と考えるとどうだろう。
Siriが進化するとどうなるか
Siriが進化するとどんな世界が考えられるか。
今は、出かける前に電車の時間を調べるにはこれぐらいの手順を踏む必要がある。
- 「乗り換え案内」アプリを起動する
- 「出発駅」「到着駅」を記入
- 「出発時刻」を設定する
これが、Siriが進化するとこうなることが考えられる。
「Siri、今出たら会社に行く電車は何分?」
「Siri(起動コマンド)、今出たら(スタート時刻)会社に行く(目的地)電車(手段)は何分(時制の質問)?」
出発駅、到着駅の明確な指定がないが、これはGPS(現在地)と、個人データから
会社の位置が分かるので、そこから最寄り駅やそこまでの移動時間を推定出来る。
このような「秘書」がAppleの目指す次の姿ではないか。
システムに勝手にプライベートを覗かれるのは気持ち悪いが、キャラクターのある秘書なら任せてもいいかと思わせる。
だからこそ、今のβ版レベルのサービスから、積極的にキャラクターを導入し、育てていこうとしていると思われる。
提案・新しいテレビの姿
ここまで言えば、提案しようとしているテレビの「新しい形(機能)」のイメージはつけてもらえると思う。
それは「秘書としてのテレビ」。
テレビの側から問い合わせたり、こちらの色々なコマンドに応答してくれる。
アイデア1:キャラクター
反応してくれるテレビには、その個性がある方がいい。
自分の中では手塚治虫「火の鳥:未来編」「火の鳥:復活編」の「ロビタ」が理想に近い。
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ドラえもんなどのキャラクターでもいいのでは?という意見もあるかもしれないが、
個性の強いキャラクターはその提案の方向性も制限されてしまう。
The Doraemon family / kwaito
個性は必要だが、キャラクターとして確立していないぐらいがいい。
嗜好性が高いのならCLAMPのマンガ、「ちょびっツ」の「パソコン」のように
自由にカスタマイズできればよいが、家庭にあるのならそこまでのカスタムをしない可能性が高い。
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アイデア2:インターフェース
インターフェースはとても重要。
技術的にはハンドサインや音声でのインターフェースは実現しているので、
Panasonic ポータブル地上デジタルテレビ ブラック DMP-HV200-K
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スタートレックの「通信機をタッチ+音声コマンド」というのは実現が簡単だが、
今ならもっと直感的に出来ると思う。
また、人によりインターフェースを変えてもいい。
息子はハンドサインで、お母さんは音声認識で、とか。
赤ん坊はお母さんが許可したときだけ反応するようにして、ゲーム代わりにテレビが相手をしてやってもいい。
反応のないテレビを流し続けるのは良くないと言われるが、反応するなら構わないし、むしろ教育になる。
Watching TV / roxeteer
実際、我が家の娘は2歳からiPhoneアプリで遊んでいるし、
難易度を変えたアプリを用意しておくと、自分で勝手に文字を書く練習などもやっていた。
アイデア3:提案
機能として欲しいのは「提案」。
押しつけがましくなく、どこまでの提案が出来るかが重要になる。
まず知識として持っているのは、その家庭の家族構成や住所など。
検索結果や家族のスケジュールも把握すれば
「運動会は雨になりそうですよ」
ぐらいは簡単に提案できるようになる。
GRAEME CREED'S WEATHER REPORT abc.net.au / RubyGoes
特に「近所の」「今日でかけたら」といった「自分向け」の情報を編集する機能が一番求められる。
例えば出かけるにはこう聞けばよい。
「最近出来たお店はある?」
「車で30分以内で、家族で遊びに行く場所は?」
元々はテレビなので、
「新番組の一覧」
と言えば新番組一覧の抽出表示なんて簡単。
実は今のテレビだって大概の機能はあるのに、それをユーザーが指示する必要があるから操作が難しくなる。
目の悪いおばあちゃんが番組表を見るなら文字を大きくしたいが、そんなユーザー補助機能は
「機能」→「オプション」→「ユーザー補助」→「文字の大きさ」
あたりを探らないと出てこない。
こんな物、テレビを見るだけでいいおばあちゃんに探して設定しろなんて無茶に決まっている。
「ちょっと見にくいねぇ」
Old Woman at London Victoria / C. G. P. Grey
といわれたら
「文字を大きくすることも出来ますが?それとも読み上げましょうか?」
ぐらい言ってあげればいい。
気の利くテレビまで、あと何年
そんな「気の利く」テレビがあればいいと思うのは自分だけだろうか。
PlayStation3のように、将来の拡張性を見越してかなりハイスペックなものである必要があるので、
当初価格はそれなりになる上、最初は機能も満足なものではないかもしれない。
でも、それが何年か開発を続ければかなり使える物になる可能性は十分ある。
日本企業は他社の成功事例を見てようやく動き出す、という事が多いが、
すでに家電業界では一番最初か、一番いい物を出さなければ利益を取るのは難しくなっている。
日本企業は「一番いい物」を後から出す事で利益を取ろうとしてきたが、
この後追い戦略は日本勢と韓国勢の混戦になっていて、従来より更に厳しい状況になっている。
ビッグカメラで買い物してきた。自分のものじゃないけども。紙袋のロゴに携帯電話関係が目立つなぁ。まぁソフトバンクは携帯だけじゃないけど。 / senov
Siriがリリースされて、今世界中で使われて洗練を進めている。
今から検索を始めてもGoogleに勝てないように、Siriが世界を席巻してしまえば
テレビの秘書サービスのニーズ自体が殺されてしまう。
たぶん、このサービスに一番近いのはPlayStation3を持っているSONY、
次点は昔から任天堂と仲の良いPanasonicだと思う。
テレビを基準にこのサービスを組み立てられる企業は世界にも日本企業しかない。
(韓国勢はテレビはあるがコンテンツ産業が苦手)
テレビの生き残り、日本の企業の生き残りのために是非本気でやって欲しいと思うのは、自分だけだろうか。