未来のテレビのカタチ・1:テレビはなぜ儲からなくなったのか
テレビの価格低下による利益の圧迫が各社えらいことになっている。
業界トップ企業までろくに儲かっていないとは・・・
パナソニックの尼崎第三工場なんてできたところなのに閉鎖とか。
・リンク → パナソニック、TV事業縮小 尼崎第1、3工場停止 1000人超削減
テレビのトレンドを見ると、
大画面→高画質(フルハイビジョン)→高速(倍速〜4倍速)→3D→4k2k
と次々新しい技術を持ち込み、それをデファクトとして買い換え需要を促したり、価格低下を防ごうとしている。
ところがフルハイビジョン以降のてこ入れ策はどんどんパンチ力が弱くなっている。
3Dは既に「賞味期限切れ」とされ、次世代の「4k2k」の高解像度技術が喜ばれるとは、個人的にはとても思えない。
・リンク → テレビ大不況「4K」は業界を救うか - ITmedia ニュース
そしてテレビの価格はズルズルと下がり、少し前なら高額な「最高機種」だったものが
すぐに最低価格の廉価版の扱いにされてしまう。
ここに至ってようやく各社が
「あ、画質上げても売れないんだ」
! / A.K. Photography
ということに思い至った。まぁ、そこまでは良いんだが、だからといってみんな揃って
「じゃあ、撤退します」
はどうなのか。
画像表示器(モニター・ディスプレイ)としてのテレビに魅力は無いが、テレビに未来はないのか。
それについて考える。
売れる商品は「半歩先」
良く、売れる技術革新は、既存の技術の「半歩先」といわれる。
横並びでは差別化できないし、一歩先では消費者が付いてこない。
「半歩」だけ先に行くと、目新しさもあり。ユーザーも付いてくる物が提案できる。
言ってみれば、「そんなんオレも考えてたよ」と思ってしまうぐらいが良い新商品と言える。
iPodなんかは正にそうで、当時携帯電話やゲーム機でもMP3音源は聞けた。
しかし純正の「プレーヤー」というとMP3に対応していない物も多かったが、
iPodはMP3を純正のフォーマットとして業界を席巻した。
もちろんiTunesという販売形態と、タッチパットによる直感操作は大きいが、
ハードとして捉えると当時その形態(HDD+MP3出力)がちょうど最先端だった。
あれが時代の「半歩先」だと思う。
では、テレビの半歩先は何か。
それには、今売れ始めている、先端の物を分析して、それを研ぎ澄ませばいい。
テレビの業界を分析する
テレビやその周辺機器として、成功している物は何か。
機器のジャンルとしては「レコーダー」がある。
サービスとしては「ネット配信」がある。
(日本では成功していないが、「Hulu」などはアメリカではかなりヒットしている)
Hulu no est〓 disponible en tu pa〓s o regi〓n / casasroger
だが、個人的に面白いと思っているのはゲーム機、あるいはその周辺機器。
ゲーム機は昔からテレビに繋がる大きな市場だが、今までは「ゲーム専用機」だった。
しかし、その「ゲーム以外」の部分が話題になっている。
大切なのは「反応すること」
ゲームに共通していることは、こちらから働きかけする(操作する)と、その反応があるということ。
あたりまえの事だが、テレビにはこれがない。
チャンネル操作や番組表の閲覧は、「働きかけ」だが、最近のテレビやレコーダーはこの反応がとにかく遅い。
つまり、この部分に注力していない(付加価値と考えていない)事が分かる。
この「操作性」に特化した商品が「torne」。
- 出版社/メーカー: ソニー・コンピュータエンタテインメント
- 発売日: 2010/03/18
- メディア: Video Game
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(torneはシングルチューナー・地デジ放送のみ。BS放送も不可)
反応する機器
今のテレビは、「地上波・BS・CS」という規格に沿って「表示すること」がメイン機能になっている。
しかし、他の業界では機器の「提案力」をいかに高めるかが機器の差別化のポイントになっている。
分かりやすいところではGoogle。
Google / warrantedarrest
欲しい情報に「いかに速くたどり着くか」に特化した企業だと言える。
元々のGoogleの目指した姿は、検索結果に「こちらが求める順序」で検索結果が並ぶことだった。
そのための機能が「ページランク」であり、今では「サジェスチョン」機能で検索する内容も「提案」してくれる。
機器としてはカーナビがそこに向かっている。
CAR NAVITIME / norio.nakayama
目的地を入れるだけだった物が、検索の機能を上げて、周辺の観光案内や空いている駐車場の検索など
より良い提案ができる様に進化を進めようと検討している。
これに対してテレビの進化は遅い。
今のテレビはネットに繋がっている前提の機能が多いのに、それを「番組表」程度にしか使えていない。
「アクトビラ」という業界の独自基準の機能があるが、全く話題にならないのは根本的な問題があるからだと思う。
- 遅い
- とにかく画面の遷移が遅い
- 分かりにくい
- 案内がないので、知っているページにしか行こうと思わせない
これを改善する機能・機器があれば、そのテレビは大ヒットする可能性がある。
なんだかテレビの批判で終わってしまったが、
後半ではどんなテレビならみんなが「欲しい」と思うのか、その具体案について考える。
・リンク → 未来のテレビのカタチ・2:欲しいテレビ