近鉄の駅ナカビジネス、京都編(ほぼ批判)
近鉄京都駅の駅の中に
駅ナカ商業施設「タイムズプレイス京都」がオープン。
・リンク → ニュースリリース(PDF)
タイムズプレイスとは?
「タイムズプレイス」は近鉄(近畿日本鉄道。大阪・奈良・和歌山・三重・愛知をカバーする日本最大の私鉄)が
運営する駅ナカショップのブランド。
一言で言うと「エキュートの近鉄版」。
西大寺・難波・京都駅の三カ所に展開している
「タイムズプレイス京都」の感想
タイムズプレイス京都は、京都駅の既存10店舗を改装した新店舗。
既存10店舗を改装し、できたのが11店舗。
「タイムズプレイス」と大々的に銘打つも、大きさは全部あわせて隣のファミリーマート2軒分未満。
こんな規模でそんな大々的に名前を付けて宣伝しても・・・
JR東の「ecute(エキュート)」にはとうてい及ばないが、タイムズプレイス西大寺は
近鉄としてはなかなかの成功例と言って良いと思う。
- 駅のどこにそんなスペースがあったんだという広い施設
- イートインからスーパー・薬局・土産物まで幅広い品揃え
- 一番外側の部分は休憩場所兼「展望デッキ」
展望デッキは何の冗談かと思ったが、鉄道ファンに言わせると、西大寺駅は線路の交差が珍しく、ファンも多いらしい。
へぇ・・・
確かに誰かしら休んでるし、子供もいるので成功なんだろう。
それと比較すると、京都は
- 狭い
- 持ち帰りの食品販売は多いが、イートインは立ち食いとパン屋併設のカフェ
- 特色も無い
う〜ん、話の広げようが無い。
「タイムズプレイス」というブランド戦略
近鉄のことだからブランド戦略なんてどこまで考えてるのか分からないが、
「タイムズプレイス」と名前を付けるのなら、わざわざ行きたくなるような施設にしなければもったいない。
西大寺駅では、タイムズプレイスのために駅に来る人がいると話題になっていた。
(東京じゃ当たり前の光景かもしれないが、奈良には客を呼べる施設が少ないので話題性が高い)
その話題性をブランドに育てなければもったいない。
今回の「京都駅」がタイムズプレイスというブランドを毀損したのはまず間違いない。
実際、JR東で移動すると、駅ナカに結構な店が並んでいても「エキュート」の名前が付いていないことがある。
彼らはしっかりブランド戦略を練って、「店がたくさんあるからエキュート」という安易な名前付けはせず、
それなりの規模と集客できる店舗を集めた上で「エキュート」を名乗らせていることが分かる。
ecute Shinagawa / abex
今回の京都で言うと、何があると「タイムズプレイス」なのかがはっきりしない。
規模も、品揃えも、独自性も。
たかだか3カ所目でこういうブランドのブレが出てしまうと、もうこのブランドの確立はこれからかなり難しいと思う。
京都駅の改善策
商業施設としてコメントすると、利用者として感じるのは
「メシを食うところが無い」
西大寺にはパン屋のイートインからカレー、軽い飲み屋まで揃っているが、
対して立ち食いそばだけというのはどうも・・・
ちょっと歩けばレストランも多数あるので、しっかりした食事は不要だが、軽食をつまんで帰れれば良いのに、と思う。
立ち食いそばを侮辱するわけでは無いが、これもブランドイメージを悪くしている一因だと思う。
実際、エキュートを立ち上げる際のポイントの一つが
「エキュートには立ち食いそばを入れません」
だったらしい。
例えば下の駅構内図の<1>の待合室や、<2>の余っているスペースを休憩場所兼、食事場所にする。
これで軽食や弁当を買って、食べて貰えば消費も増える。
店を広げられないとしても、その場で食べるスペースを増やせれば
軽食・パン・弁当が売れるし、飲料を追加で購入して売り上げアップにも繋がる。
近鉄京都駅は、橿原神宮前まで行くと一時間以上の長距離移動になる。
この距離を移動する人は、弁当を買って帰るのでは無く、京都で軽く食べて帰りたいと思う。
移動距離や時間のデータは、近鉄ならたくさん持っているだろうに、ちゃんと分析しているんだろうか。
電車の待ち時間が最大15分かかる京都駅では、5分・10分で軽食を食べられるならちょっと食べたいニーズもあると思う。
逆にその時間では駅の外の店にまで移動できないので、駅ナカの独占になる。
駅ナカで狭い店舗なら、そういうニーズを取り込めば良い。
今、それができているか?
「だから立ち食いそばだ」
というのはちょっと違う気がするんだけどなぁ。
ということで、改善案も出したけど、基本的には批判でした。
それにしても、このご時世に大規模な宣伝を打った改装工事をするなら、それなりの承認経路を通っていると思うんだけど、
なんでこんな企画が通ってしまったんだろうか。
そこは素直に疑問。
中小企業ならともかく、近鉄って一応日本最大の私鉄なんですけどね。