読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

遊園地考3:生駒山上遊園地改善案

ナンジャタウンは、その丁寧な作り込みが高いリピータ率を実現している。
では、中小の遊園地はそこから何か学べないか?
奈良県唯一の遊園地となった生駒山上遊園地を例にとって、改善策を考えてみる。


これまでの記事はこちら。
・リンク → 遊園地考1:生駒山上遊園地分析
・リンク → 遊園地考2:成功例分析・ナンジャタウン

まず分析する

ナンジャタウン「都心の屋内型」という特殊な環境をフルに生かすことであの独自の雰囲気を作り上げた。
では、生駒山上遊園地にはどんな独自性があるか?

独自性がメリットか、デメリットかは生かし方次第だと思う。
そこで良い、悪いを考えずにまず列挙する。

  • 古い
    • 1929年開園の歴史のある遊園地。ケーブルカーも日本最古
  • 景色
    • 大阪を一望できる生駒山上にある
  • 寒い
    • 生駒山上は大阪より2〜3℃は温度が低い
    • とにかく坂が多い
  • 狭い
    • USJ等に比べれば狭い

これをどう生かすか?

上に挙げた5つの項目のうち、生駒山上遊園地が活用しているのはかろうじて「景色」
ところが夏休み期間を除いては「5時閉園」なので、夜景は望めない。
また12月〜3月は「冬期休園」として丸々閉園している。

CLOSED FOR WINTER? WTF? / MSVG

ごうも合理化策の一巻で、来客の望めない時期は閉園することで少しでも出血を減らそうとしているらしい。
それぞれの特色を生かすとどうなるか考えてみる。

古い

歴史を訴える。
遊園地自体よりも、麓の宝山寺や日本最古のケーブルカーを集客のきっかけにする。

生駒山自体がハイキングコースとして人気があり、ハイキングコースの終着点を遊園地にしている事も多い。
そこで生駒の歴史体験コースを企画し、その遊園地で歴史を学ぶツアーなどを企画する。

景色

景色を売りにする。

Mt. Ikoma / Hyougushi

今は景色を眺めるアトラクション(飛行台・遊覧車)があるが、他にもこんな事ができる

  • 大空をバックにした写真撮影をメインにしたイベント(アイドルなどの撮影会・コスプレイベント等)
  • 夜景を売りにしたアトラクション(夜は飛行台の回転速度を落とすだけでも良い)
  • 大阪を見下ろす絶景の中でのウェディング
  • ライトアップイベント(期間限定で実施中)
  • 見晴らしの良いエリアを桟敷席にし、ゆっくりと休んで食事をするスペースを設ける
寒い

大阪から山上遊園地に行くと、結構涼しく感じる。そこで、夏は簡易的な避暑地としての利用を提案する。
現在は日陰もないし、飲食スペースが少ないのでビアガーデンのような飲食ゾーンがあると良い。

ビアガーデン! / klipsch_soundman

坂が多いことで見晴らしが悪いので、宝探し等のオリエンテーリングには向いている。
坂が急なので、難易度とともに、「消費カロリー目安」を設けるとゲーム性だけでなく「ダイエットイベント」としても訴えられる。

Jogging on a bright November morning / Ed Yourdon

狭い

ナンジャタウンのよう、狭いことを生かしたイベントも考えられる。
とはいえ生駒山上遊園地について言うと、周囲の山も含めると決して狭くはない。
むしろイベントに応じて広さをフレキシブルに考えられることはメリットになる。

やり方はたくさんある

ぱっと挙げただけでもいろんなイベントが考えられる。


現在は遊園地を「子供向け」と特化しているが、そこに制限しなければ行けない必然性も感じない。
子供向けの施設はそのままに、大人も楽しめるように出来ればいい。

例えば、遊園地に高級志向を持ってくる

例えば景色を売りにする「桟敷席」
京都の貴船の河床や、梅林等の花見の茶屋は、その席や食事が特殊なわけではない。

夏の思い出 / sprklg

その場の雰囲気や、景色にお金を払っている。
それなら、大阪を見下ろす絶景を眺めながらの席にお金を払っても良いだろう。
生駒にはこだわりのレストランが結構ある。
そういったレストランに出張店舗をお願いすれば、料理の質も高いものが出せる。
これはもう、完全にカップル・高齢者など「落ち着いて散歩し、景色を楽しむ」という人がターゲット。


想定しているターゲットには、ハイキングしている人がいる。

Hiking / ♀Μ〓ỳαл_Bгεлл♂

生駒山のハイカーは、宝山寺などを経由して、最終地点として無料の山上遊園地にやってくる。
その「ご褒美」として、山登りをしたからこそ見られる綺麗な景色のなかで、
ちょっと贅沢な食事・軽食は結構喜ばれると思うのだが。

山上遊園地にこそ、向くアトラクションもある

また「宝探し」「謎解き」は、初期費用が安い上に子供から大人まで楽しめるので、
中小の遊園地が導入して人気を呼んでいるらしい。

京都1000人の宝探し大会 '09 / inucara


山上遊園地はこのイベントに向いた特性がふたつある。
一つは「坂が多くて見通しが悪い」こと。
普通ならこれはデメリットだが、こと「宝探し」ではわかりにくさが大事なので、坂は難易度を上げて面白くするメリットになる。


二つ目は入場無料ということ。
入場無料で、周囲が山(ハイキングコースを含む)なので、施設の大きさにこだわらない設計ができる。
ハイキングコースまで行って戻ってくる、長距離コースも設計できてしまう。
これは生駒山上遊園地ならでは、といえる。

復活への道

こう考えていくと、まだまだお金をそれほどかけずにやれることもある。
今更だが、遊園地である限り、まずお客様が喜んでもらえる、楽しんでもらえることが一番。

Happy Children Playing Kids / epSos.de

その結果、リピートしてもらえることが集客・収益にはとても重要。
そしてリピートに繋げるには、「もう一回来たい」「今度はこれをやりたい」と思わせる「仕掛け」が重要。
今の生駒山上遊園地には、とにかくそれが無い
まずは満足度を高めて、その上でお金を使って貰う。
エンターテインメント産業である限り、この順序を間違えるとリピート率が極端に低下する。


設備産業では、縮小均衡はジリ貧になることが多い。
現在の「5時まで営業」は、夜景を売りにすることで、カップル客が来るという可能性を殺しているので、もったいない。

DSC07959 / kaoruokumura

これは、顧客の満足度を十分に満たせていない例。
ただ実際には、カップルが来てもそれに向けたアトラクション・イベントがないので、原状はこうせざるを得ない。
さらに冬期は丸々閉鎖しているので、この間の維持費はすべて赤字。
ただこれも、寒くて凍結の恐れがある環境では、閉めた方が良いのだと思う。
(以前はスケートリンクがあったが、それも閉鎖して集客の目玉が冬期には無い)


現在は、子供向けに特化して、子供の喜ぶものだけをなんとか揃えている印象を受ける。
それ自体の完成度は置いておくとしても、結局お父さんはやることが無い。
遊園地には家族で来ることが多いので、本当に「子供向け」だけでは、両親・祖父母は暇をもてあましてしまう。
子供だけが遊ぶのならキッザニアに行けばいい。

DSCN2687 / nishioka

来る人みんながハッピーになる工夫を考えれば、満足度も上がる。それが今の生駒山上遊園地に欠けている視点だと思う。


・・・というところで提案を終わりたかったんだが、今回実際に山上遊園地に行って、
トイレとか物販とか食事の場所・内容とか、とにかく基本的な部分がなってないな、というのが正直な感想。
戦略も大切だが、従業員の日常的な態度や行動が一番基本なのは当たり前。
基本だからこそ一番難しい部分だが、なんとか改善して、地元の遊園地として再生して欲しいと思う。