【買い物難民対策:2】自動販売店2
買い物難民が発生するのは、近所にスーパーがないから。
それなら、近所に作れる、新しいスーパーの形を考える。
買い物難民が問題になるのは、ある程度の人口はあるが、スーパーは成り立たない程度の人口規模、あるいは人口密度。
Paisley / Explore The Bruce
人がいるから難民になるわけで、その人口で商売が成り立てばスーパーを作ってもらえる。
つまりは「元」が取れれば商売にもなる。
何を考えるべきか
スーパーの魅力の一つは「安さ」なので、原価率の改善には限界がある。
このため仕入れ原価と、人口密度から予想される売り上げはある程度計算できる。
この情報から、現在のスーパーでは商売が「成り立たない」どころからどう利益を出すか。
答えはシンプルで、コストを下げるしかない。
I Love Saving Money / Tony Crider
前回も出したこのデータを元に考えると、
・リンク → スーパー業界の現状(PDF) − 中央三井トラスト・ホールディングス
原価以外のコストは次のようになる。
- 人件費:約12%
- 設備費:約5〜6%
- 販促費:約2%
やはり大きいのは「人件費」。
ということは「無人スーパー」ができれば、人が少なくても成立できる可能性がある。
「自動販売機」ならぬ「自動販売店」。
今だから出来る
「自動販売店」は、通常のスーパーと比較しての「便利さ」「安全性」がハード面では重要になる。
今まではこの仕組みの構築が難しかったが、今はそのハードルがかなり低くなった。
完全会員制
無人では万引きが一番問題になる。
今注目の「セルフレジ」は顧客が自らレジを通すので万引きのリスクは上がる。
self cash register / hirotomo
そのためレジに重量計を入れたり、何人かに一人は抜き打ちで店員がレジをチェックする等の対策が必要になる。
完全に無人にするなら、店舗は完全会員制にし、棚から出す時点で会計すればいい。
自動販売機は実際に完全前金制。
通常はその会員制の管理や、決済システムが問題になるが、今はICカードが流通している。
PASMO、SuiCaなどのカードは、システム的には現金決済と同じなので、代金と引き替えに現品を渡すシステムとして使える。
Public transport cards / kalleboo
全て決済はデータで行われるので、チャージ以外では店舗は現金を持たないというメリットもある。
現金を持たないシステムは、襲撃されにくくなるので、より安全性が高まる。
ちなみに利益率2%、原価75%の小売店では、100円の万引きが一件あると、
それを取り戻すのに3,750円の売り上げが必要(原価75円/利益率2%)。
コストを抑えるには、万引きの徹底的な対策が必須になる。
でも、お高いんでしょう?
そんな自動販売棚のシステムを作るといくらになるか分からないが、「自動販売機」の価格は分かる。
自動販売機は一台36.6万(06年時点、飲料販売用)
・リンク → 産業界の動き〜国内自動販売機市場の概要 − 住友信託銀行
安っ!
しかも商品が軽く、冷蔵不要なタバコ用だと30万を切るらしい。
食品スーパーの平均的な年間売上高が12.5億円、うち12%を人件費が占めると1.5億円。
結構デカいな。
自動販売装置は新規製作なので、高価で一台150万円としても、1億円で66台の装置を購入できる。
実際には飲料など、既存の販売機を流用できる物もあるだろうし、一年分の人件費で
それなりに体裁の整った店舗にできるんじゃないか?
ハード面だけ考えれば、出来ない話でもないんじゃないか?
買い物弱者の問題が起きている地域をターゲットにしているので、土地の取得費用も都心ほど高くはない。
自動販売装置による土地効率の悪さは、取得費用の安さと駐車場を減らすことで対応する。
No Parking / Thorne Enterprises
商圏が狭いので、徒歩や自転車をメインターゲットにして、駐車場を減らせば土地の利用効率も上がる。
ということでハード的には作れるとして、あとはソフト。
顧客が付かなければ商売にはならないので、どうやって地域の顧客を掴むか。
商売には一番大切なところだが、次にこれを考える。
続きはこちら。
・リンク → 【買い物難民対策:3】自動販売店にはロボットを
昨日の内容はこちら
・リンク → 【買い物難民対策:1】買い物に行けない、を数字で確認する。