「宇宙、そこは最後のフロンティア」【問題提起】
「宇宙、そこは最後のフロンティア」
Space, the Final Frontier / jurvetson
スター・トレックの冒頭で流れる有名なナレーションだが、実際の宇宙開発の状況はというと、
ワープ航法どころか月にもいけない今日この頃。
宇宙なんて自分には関係ない、という人に、
役には立たないけどちょっと「ふ〜ん」ぐらいには思ってもらえるような、
宇宙への距離を感じる話をしてみる。
宇宙は遠い
宇宙開発はなかなか進まない。
はやぶさが話題にもなったが、例えば月に人類が最後に降りたのは1972年12月のアポロ17号。
以来40年近く、人類は月にすら到達できていない。
Apollo 11 / purpleslog
その理由はとてもシンプル。
「金がかかる」
「何の役に立つか分からない」
宇宙は高い
宇宙にものを運ぶにはロケットを使うが、ロケットの90%以上は燃料。
例えば日本のH2-Aロケットの場合、ロケットの重量289トンに対して打ち上げ可能な重量は低軌道(LEO)で10トン、静止軌道で2トン。
あれだけ大きなロケットでも、「荷物」は先端のごく一部。
ざっくりと図示するとこんな感じ。運ぶ荷物は赤の部分。
だから必然的に打ち上げ費用は高くなって、今は1kgあたり100万円ぐらいするらしい。
・リンク → インタビュー:永田 晴紀 氏「宇宙開発を小型化したい」
ちなみに中型と言われる人工衛星で300〜500kg程度(はやぶさの打ち上げ時質量が510kg)
1/1はやぶさ / akira yamada
大型衛星では1トンを超える。(ひまわり7号は2.4トン!)
衛星を小さくすることで安く打ち上げよう!という話があるのは先日書いたとおり。
・リンク → 僕も作れる夢の超小型衛星がこんな身近に
なぜ宇宙を目指すの?
そんな宇宙を目指すメリットは何か。
冷静に考えると、今の段階で宇宙を目指すメリットは「無い」。
学術的には大事だし、GPSや監視衛星などやらなければいけない事もある。
そして将来は月や火星といった宇宙開拓もできるかもしれない。
でも、究極的にはみんな「宇宙が好き」だから目指しているんじゃないかと思う。
宇宙飛行士になりたいか!
例えば宇宙飛行士の数は505人(2009年12月現在)で、半分以上はアメリカ人。
・リンク → 国別の宇宙飛行士数をGoogle Chart APIでグラフにしてみました−星コンスタッフブログ
日本人の宇宙飛行士はまだまだ少なく、宇宙飛行士になったからと言って宇宙にいけるとも限らない。
ところがJAXAが募集する宇宙飛行士の競争率は300倍から1000倍の間と言われる。
オレの幼稚園の頃の夢も宇宙飛行士だった。
そして「宇宙飛行士」を扱ったマンガも多い。
普通に扱ってマンガになる、ということはそれだけ「非日常」だということ。
宇宙への憧れがあることは、宇宙技術・宇宙産業の発展には良いことだが、
それだけずっと手の届かない所に有り続けるのは、宇宙開発があまり発展していない証拠とも言える。
それぞれ「宇宙兄弟」「度胸星」「ふたつのスピカ」「プラネテス」
あと、まだ単行本化されていないが、ジャンプで連載が始まった「ST&RS」(スターズ)はかなり良い。
ジャンプらしくSF風、少年マンガの味付けをしているがかなり面白い。
・リンク → ST&RS公式サイト
とにかく宇宙に行きたいか!
もう一つ実例を挙げると、「宇宙旅行」がある。
Space tourism at affordable, low prices / caswell_tom
宇宙旅行の費用は現段階では20億円を超えると言われる。
20億の金を出して、何ヶ月もの厳しい訓練を受けて、それでも宇宙に生きたいという人が何人もいる。
こうやって考えても、やっぱり「宇宙、そこは最後のフロンティア」なんだな。
ただ、小型化技術が進んでもなかなか採算が取れない宇宙技術にずっと投資し続けるのも難しい。
実際、宇宙ステーション計画はその予算規模から一国では難しく、
世界での共同プロジェクトになり、さらに各国の予算縮小によって計画が縮小されたり延期されたりで
当初計画よりは大分おとなしい形の完成となった。
Orbital Toehold Complete / Undertow851
宇宙の話を真面目にすると、結構最後は「夢に金をつぎ込むのももう難しいよね」
というちょっと寂しい方向に向かってしまう。
そこで「これなら実現可能、夢のある宇宙計画」を明日はやってみる。
続きはこちら
・リンク → 地に足の付いた宇宙基地・宇宙エレベーター【解決案】