AirScouterの理想と現実 【問題提起】
ブラザーが事業化を発表した透過型HMDユニット「AirScouter」について、
何日か触れないだけで「なんで書かないの?」と言われたんだが、やっぱり好きそうですか?
まぁ、好きなんですが。
「AirScouter」のプレスリリースと他社情報
ニュースリリースはこちら。
「Brother World JAPAN 2010」に新試作機を出品
・リンク → メガネ型網膜走査ディスプレーの名称を「AiRScouterTM」に決定(ブラザー社プレスリリース)
キレイなロゴまで作っているあたり、業務用からスタートして民生用途に広げたいという同社の思いがよく分かる。
ちなみにこれ、実は2010年に事業化を決定という発表のもの。(上の写真・リンク)
今ニュースになっているのは、今年改めて事業化を発表した件について。
軽量化が進んではいるようだが、一年越しで同じ発表をしているという意味では進展がない。
まだ民生用途はなく、NECの業務用端末のディスプレイとして採用が決まっている段階とのこと。
ブラザーは2005年には据え置き機を発表しており、そこから数えてもなんと6年越しの商品化。
ちなみにこのようなHMD(Head Mount Display)で一番力を入れていたのは多分オリンパス。
古くは1998年にも製品化していて、
最近では2010年にDocomoと提携したコンセプトイメージを発表している。
このコンセプトの状況からすると今でも開発は続けていると思うが・・・(同社サイト上では情報が見つからず)
「一歩以上先」の商品は失敗する
この手の「未来を感じる商品」は技術・ガジェット好きの間では話題になるが、上手くいったためしがない、気がする。
話題にはなるし、「欲しい」という声は出るが、その技術が新しければ新しいほど上手くいかない。
例えば 3Dテレビ(もう、失敗したって言っていいんじゃないか?)
例えば ホログラム
例えば ホバークラフト
例えば 空飛ぶ車(アメリカで商品化)
例えば ロボット犬(AIBO)
例えば テレビ電話
- 作者: AIBOプロジェクト
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 5回
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商品開発では、よく「時代の半歩先を目指せ」と言われる。
先に行かないと差別化できないが、一歩先に行くと顧客が付いてこられないマニアックな商品になってしまう。
ちょっと先、半歩ぐらいがちょうど良いと言われる。
それはユーザーの意識にしても、技術面にしてもそう。
Appleの失敗作と言われた「Apple Newton」だって、世界初(1993年発売)のPDA。
アップル Newton MessagePad 120 (premium vintage)(c)
- 出版社/メーカー: Apple Computer
- メディア: エレクトロニクス
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それはSharpのZaurusや、W-Zero3に、そしてiPadまで連綿と繋がっている。
未来を感じる商品が失敗する理由
では「未来技術」を具現化した商品の何がダメなのか?
その一番の理由は、単純に「用途がない」から。
未来を感じる商品群の共通項は、開発者が「作りたいから作っている」こと。
当初は完成度の低い物だが、その完成度の低さとコンセプトの「何でもできる未来」の間のギャップを埋められない。
開発者は作りたい物を作ってるんだ、というと思い出すのはこれ。
この当時は「オタク」でなく「おたく」表記だったんだなぁ。
- 出版社/メーカー: フジテレビジョン
- 発売日: 2002/03/20
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 41回
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江口洋介の台詞(うろおぼえ)「SimCityなんかマーケティングちゃんとして作ったと思うか?あんなの作りたいから作ったんだよ!」
事実、そうだと思う。当時のゲームなんて。
ただその感覚で商品開発はしちゃいけないと思う。
では、今回の「AirScouter」は?
正直、厳しい。
デモではピッキング(物流倉庫での取り出し作業)や、修理作業中の図面表示がデモされていたが、
最低限、図面の表示は良いとして、それ以外の用途が思いつかない(ピッキングも多分採用されない)
まずこの「AirScouter」という名称はどこから来ているか?
「スカウター(Scouter)」とはドラゴンボール作中の機械。
今ではこの手の機械の一般名称として使われている。
ではその「ドラゴンボールのスカウター」を分析して、突破口を探る。
※この記事の続き
・リンク → 初めてのスカウター選び 【例示】
・リンク → ではHMDはどうしたらいいのか 【解決策】