東芝ロボット掃除機「Smarbo」の発表資料について
以前から「さっさと日本企業も参入したら良いのに」といっていた「ロボット掃除機」、
・リンク → ルンバくんについて
ようやく東芝が参入を発表。
発売は10月とのこと。
そこで発表資料を見てみる。
ジャンルは「スマートロボットクリーナー」
発表資料は以下の通り。
・リンク → 「2つのCPUとセンサー、カメラ機能で賢くお掃除できる スマートロボットクリーナーの発売について」
家庭用自走式クリーナー(ロボットクリーナー)の国内市場は、2010年度約10万台と推定され、2011年度は約17万台に増加すると予想しています(東芝調べ)。
ロボットクリーナーに対しては、共働きでの忙しさ、家事省力化のために自動で掃除をしてほしい等のニーズがある一方、「効率的な掃除」「安全への配慮」「細部への対応」などを重視する傾向も見られます(東芝調べ)。こうしたニーズに対応して、当社は「ムダなく、かしこく、美しく」をキーワードにロボットクリーナーを新たに商品化し発売します。
なんだこりゃ。とりあえず結論から言うと、これは売れない。
方向性が完全に間違っている。
そもそも「ロボットクリーナー」って何だ?「ロボット掃除機」じゃないのか?
中途半端な横文字は団塊世代の主婦層に受け入れられない気がするのは気のせいか。
そもそも掃除機に求める物は?
ロボットクリーナーに対しては、共働きでの忙しさ、家事省力化のために自動で掃除をしてほしい等のニーズがある一方、「効率的な掃除」「安全への配慮」「細部への対応」などを重視する傾向も見られます
って、誰に聞いたんだ?
誰がロボット掃除機を知っているの?
ロボット掃除機というジャンルの代名詞はiRobot社「Roomba(ルンバ)」。
iRobot Roomba 自動掃除機 ルンバ 537 白色
- 出版社/メーカー: iRobot (アイロボット)
- 発売日: 2009/09/16
- メディア: ホーム&キッチン
- 購入: 5人 クリック: 273回
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- 2009年に累計10万台を達成
- 2010年10月に累計20万台を突破
このぐらいの市場では特定機種が大きなシェアを持つので、2010年度10万台という推計は大きく間違っていないと思う。
一方掃除機は年間出荷台数は560万〜570万台(社団法人 日本電機工業会調べ)。
今年は震災の影響で500万台強に落ち込むかもしれないが、平均寿命が7.7年なので稼働台数は7.7×560万台=4300万台。
日本の世帯数が4900万世帯なので、まぁこんな物だろう。
まとめて図示するとこの通り。
日本参入7年なので、故障等による買い換え需要もこれから。
つまりロボット掃除機は「使ったことがない」という人が圧倒的で、その人がターゲットになる。
新規ユーザへのヒアリングの難しさ
新しい商品ジャンルの場合、「何が欲しいですか」といっても正確な回答はなかなか出てこない。
それはヒアリングした相手もよくわかっていないから。
例えば5年前にiPhoneのチラシを持ってヒアリングしたとする。
「タッチパネルで色々なことができる電話があったら買いますか?」
[asin:B0041OEZAW:detail]
おそらく結果は散々だと思う。
ではiPhoneは売れなかったか?
今回も同じ、「ロボット掃除機に何を求めますか?」という質問は間違い。
ロボット掃除機というジャンル自体が極端でニッチだという認識でないといけない。
どう伝えれば良かったのか?
以前の記事で方向性を出しているので、結論も出してしまおう。
東芝とルンバの違いは何か。
東芝の掃除機なら「このぐらいの掃除能力はあるんだな」とイメージできる。
TOSHIBA 紙パック式クリーナー 強力パワー 軽量コンパクトパワーヘッドブラシ ブルー VC-PA8(L)
- 出版社/メーカー: 東芝
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: ホーム&キッチン
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
そこが圧倒的に違うところで、そこが一番差別化するべき所。
結局みんな、ルンバを知らない
ルンバの認知度は上がってきたが、使ったことがある人はごく少数。
つまり、「そもそもロボット掃除機って本当にキレイになるの?」ということが分からない人が大半だと言うこと。
実はルンバが売れている理由の一つに、掃除ロボットとしては一番掃除能力が高いことがある。
しかし、我が家で使った印象としては「普通の掃除機よりはだいぶん掃除能力が落ちる」。
では東芝が「今までの掃除機と同等の掃除能力をロボット掃除機で実現」として売り込んだらどうだろう。
みんな日本の家電メーカーの掃除能力はわかっている。(4300万人にイメージが付く宣伝ができる)
これは強い。
何なら、ルンバとの掃除能力の比較もやれば良い。(というか、やらないとダメ)
特定機種の名指し比較は日本ではNGだが、「他社代表機種」というとルンバしかないから大丈夫。
本当に掃除能力は高いの?
では本当に掃除能力は高いのか?
公式ページではその辺がよくわからない。
ただ「ターボモード」を搭載していたり、フローリング用に「モップ」が付けられるなど
掃除能力を高めようとしていることはうかがえるので、高いんじゃないかと推測している。
東芝が売りにしている「頭が良い」も、この「掃除能力が高い」のサブ機能としてなら納得感がある。
掃除能力を高くするためにハイパワーのモーターを積むと連続稼働時間が短くなる。
しかし、「Smarbo」は必要なルートだけを短い時間で掃除する「スマート機能」があるから電池の持ちが短くても大丈夫!
これならストーリーが繋がる。
こう売れば良かったのに
ということで今回の東芝の「Smarbo」、キャッチと商品コンセプトをこうすれば良かったのに、という案。
一番キレイにできるロボット掃除機「Smarbo」登場
従来の掃除機と同じ掃除能力をロボット掃除機で実現。
これからは自動で部屋をキレイにしてくれます。
考える掃除機だから日本の家庭でも大丈夫
家具が多く複雑な日本の家庭でも、38個のセンサーと、カメラによる「ナビゲーションテクノロジー」で効率よく、隅々まで掃除できます。
まずはシンプルに基本機能、その後付加価値を高めるのは基本だと思うんだけど。
東芝さん、10月発売だからまだソフトや広告の修正は間に合うと思いますけど。
(モーターの基本能力が足りてなかったらどうしようもないけど)