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ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

未来の消耗品ビジネス案・0:消耗品ビジネス「ジレットモデル」の復習

消耗品ビジネスの話は取り上げたことがあるが、
ジレットモデル」という名前が付くほど有名なのはカミソリのジレット社。
最近では言うまでもなくキヤノンをはじめとするプリンター。
この有名なモデルを改めて考えて、次世代の消耗品ビジネスを考えてみる。

ジレットモデル:カミソリの何が凄いのか

まずはジレットモデルの復習から。
家庭用のカミソリでは剃りやすくする持ち手部分のデザインがとても重要らしい。
ほぉ、知らなんだ。

Gilette / anafreitas


ジレット社はカミソリを扱うが、刃の部分はいいとして、毎回持ち手を販売すると非常に高価になることが問題だった。
いくら切れ味が良くても、これでは売れない。
そこで刃を交換式にして、替え刃のみを購入できるようにした。
ここまでは普通の、良くできたアイデアのお話。


ジレットモデル」といわれるモデルがここから飛び抜けて優れているのは二点。

  1. 交換部分のジョイントを特殊な物にし、自社の替え刃しか付かないようにした
  2. 高価な持ち手部分をタダ同然で販売した(あるいは販促策として配った)

これにより「まず使ってみる」人を増やし、「気に入って替え刃を買う人」で儲けを出した。

ジレット社のその後

ジレットモデルは基本的「勝ち組の戦略」といえる。
最初に儲けが少ないか、場合によっては赤字を出す戦略なので、新規参入の弱小会社は真似をしにくい。
一旦上手くいけば、その儲けで替え刃を開発することで、技術面でも競合排除を行っている。
日本国内でもジレット社対貝印の戦いは続いていて、
貝印ガンダムとコラボレート商品」など主流でないニッチ戦略で対抗している。
ジレットは超大手なので、下手な新商品ではすぐに追いつかれる上に、圧倒的な生産力でより安く提供されてしまう。
そうなるとガンダム好きなら貝印ぐらいニッチに行かざるを得ないわけだ。
このままの戦略だと貝印は厳しいだろうなぁ。

※期間限定商品のため現在は取り扱い無し

キヤノンのプリンター

同様の消耗品ビジネスで有名なのはプリンター。
特にこのジャンルで成功しているのはキヤノン
キヤノン「ヤ」は大文字です。お間違えなきよう)
プリンターのキモはインクを塗布する「ノズル」部分だが、この部分だけでも本来は何万円もする。
でも、プリンターは安い物では1万円とか2万円、高級機種でも5万円もせずに買えてしまう。

Canon PIXUS インクジェット複合機 MP490

Canon PIXUS インクジェット複合機 MP490


逆に原価で考えるとタダ同然なのは「インク」
各社はこのインクカートリッジを独自仕様にして繋がらないようにすることで、
プリンターを自社製品で囲い込み、交換品のインクで儲けるビジネス構造を取っている。

Canon インクタンク BCI-321(BK/C/M/Y)+BCI-320 マルチパック

Canon インクタンク BCI-321(BK/C/M/Y)+BCI-320 マルチパック


このスキマを付いたインクのみを扱う「再生インク」会社も存在するが、キヤノンは特許闘争でこの会社を販売停止にした。
エプソンは特許侵害で押し切れず販売継続)
ここが難しいところで、キヤノンなどプリンター各社にとっては、赤字で販売したプリンターの費用を回収するにはインクを買って貰わないといけない。
でも消費者からすると異常に高いインクを買うのには抵抗がある。
キヤノンがこれで暴利をむさぼっているならみんなが納得できないのは分かるが、
メーカからしたら「安くプリンタをばらまくリスクを冒しているのはオレたちだ」という思いがあるのも分かる。
これはどちらが「正解」という物では無く、考え方の問題一つなんだろうな。

ジレットモデルの良さ

消耗品ビジネスはメーカが楽して儲かるというだけでは無く、消費者にもメリットがある。
それは「購入しやすくなる」=「普及が進む」ということ。
カミソリやゲーム機、プリンターは最初の購入費用が高いとなかなか手が出せない。
そこで初回を安く提供し、使えば使うほど費用がかかる形にして回収する。


カミソリは分からないが、プリンタやオフィスの複合機はこの消耗品ビジネス型で無ければここまで急速に普及しなかったと思う。
メーカが成功する仕組みというのは、結局消費者にとってもメリットのある物のはず。
消耗品ビジネスはそれを表していると思う。


とにかく、これが現在成功しているジレットモデル」こと消耗品ビジネスの事例。
自社での囲い込みが一番のポイントなので、大規模投資と特許技術でどれだけ競合の参入を防げるかという
戦術レベルの細かい対応の部分が技術的には面白かったりする。
さて、これを導入することで面白くできる物が無いか、明日以降考えてみる。