ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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革新的技術による価格破壊:3・ゲーム業界

革新的な技術による価格破壊、というともちろんネットの普及がある。
ネットの台頭はいろんな業界で低価格による市場破壊を生んでいる。
今回はその実例について取り上げる。その業界とは、「ゲーム市場」

Color Key: My Nintendo Games! / 55Laney69

ゲーム業界の無料化とトレンド

ゲーム市場では無料プレイをベースにして、アイテム等で課金するソーシャルゲームが大きく市場を伸ばしている。
ソーシャルゲームはゲームのグラフィックや操作性にはあまり金がかかっていない。
ゲーム的には定期的にクリックを繰り返して、そのタイミングや回数でレベルが上がるだけという、なんとも単純な「作業ゲー」

FrontierVille - Game Play / SobControllers

「ゲームというよりも、検索などのシステム開発に近い」
という意見が合ったが、確かにその感覚が近いと思う。
だが、ゲームを始めるのが無料という呼び水があるのでユーザーの数を急激に増やしている。
しかもアイテム課金を少しづつ続けるので、結果としてヘビーユーザーの一人あたり収益も大きい。
すごくざっくりまとめてしまうと、会社としては「簡単に作れて、儲かる」のがソーシャルゲーム
こうなると金と技術をかけて作った虎の子の大型ゲームよりも、お手軽ゲームの方が儲かるとなってしまう。


ゲーム業界はどうなっているか。
ソーシャルゲーム「邪道」として参入しなかった大手メーカも、市場の拡大を見て参入せざるを得ない状況になっている。
ゲームを作るメーカはハードに依存しないので、波が携帯電話に向かっているなら乗り換えることもできる。
ここで厳しくなるのがハードメーカ。
ソーシャルゲームは奥が浅く、操作が単純。
つまりゲームシステムとしては単純なのでプラットフォームを選ばない。
(ケータイでも、スマートフォンでも、パソコンでもなんでも同じように遊べる)
こうなるとPS3,X-Box360,Wii,PSP,DSなどの「ゲーム専用機」の存在価値が薄れてしまう。

歴史は繰り返す

この状況は15年ほど前のゲームセンターの状況に似ている。
当時のゲームセンターは格闘ゲームの大ブームで盛り上がっていたが、
家庭用ゲーム機の能力が高くなると「1プレイ100円」という金額が「高い」といわれるようになった。
家庭用ゲーム機は5000円とか7000円とかの初期投資はかかるが、買ってしまえば無料で何回でもゲームができる。
もちろんゲームセンターの方がしっかりした筐体で、大画面で遊べるが家庭用でも「それなりに」綺麗で遊べる。
こうなるとゲームセンターでの遊戯人口が減るのは当たり前。
ゲームセンターとしては「家ではできないような付加価値」を創り出さなければいけない。

ちなみに当時「それなり」の画質だった家庭用ゲームも、その後レベルが上がって店舗用に引けを取らない高性能になった。
家庭用に顧客が流れることで開発に金をかけられるようになるし、家庭用テレビの大型化が進んだことも大きい。
ただ、分水嶺となったのはまだ当時「それなり」の画質・性能だったゲーム機時代。


その後ダンスダンスレボリューションをはじめとする音ゲー
バーチャコップをはじめとするシューティングゲーム「プリクラ」「UFOキャッチャー」などによりゲームセンターは生き残った。
今はメダルゲーム」「カード式ゲーム」「ネット対戦」「プレーヤーカード」などさらなる高付加価値化でゲームセンターは生き残りを図っている。

DDR Rookies / randomlife

翻って家庭用ゲームの状況

こうして町のゲームセンター市場を食って拡大してきた家庭用ゲーム機産業が、
皮肉なことにさらに低価格のネットゲームによって同じようにやられようとしている。
ソフトウェアメーカは「儲かる方に流れる」ので、ハードウェアメーカは生き残るために「パソコンでできないゲームの付加価値」を出さなければいけない。


ここで各社が打ち出したのが「体感式ゲーム」
各社の出しているゲーム機は以下の通り。


Kinectを使った攻殻機動隊タチコマゲーム / ysakaki

いすれも従来のような「ボタン式」ではなく、体を動かすインターフェースを導入している。
ゲームハードのフラッグシップである「据え置き型」スマートフォン・パソコン・携帯ゲーム機によりその存在価値が揺らいでいる。
皮肉にも携帯ゲーム機の性能が上がったことで、据え置きゲームは不要というカリバニズム(共食い)が起こっている。
据え置き型ハードの性能が低い任天堂は一番早くカリバニズムに陥り、Wiiをリリースすることで大ヒットした。
これからは据え置き・携帯ゲームという区分の他に、ネット・ソーシャル・スマートフォンタブレットと全方位の競合を相手に戦略を立てなければいけない。
その市況を考えた上で、各社の最新機器の考察を行ってみる。