ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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革新的技術による価格破壊:2・時計業界

革新的な新技術による価格破壊があったときにどう対抗するか。
実例から市場が縮小する中で「高価格・高品質」に突っ走ることでの生き残り方を考える。

「もっと高品質に」というこだわり

市場がどんどん縮小する中で「もっと高価格・高品質」という発想ができるか、
その高品質をとことんまで突き詰められるか、さらにその高品質に顧客が付いてくるかがその市場が生き残れるかを決める。


その成功例が時計市場
クォーツ式時計の誕生により、機械式時計は存続の危機に陥った。
クォーツ式時計は時間に正確な上に圧倒的に安く作れる。
機械式時計はどこまで高品質に作っても、クォーツ並みの正確さは出せない。
ここでそのまま廃業していったのが多くのアメリカの時計会社。
それに対して、時計を「芸術品」というレベルまで突き詰め、
出荷台数が10分の1になっても同等の利益が出るほど、高付加価値を突き詰めたのがスイスの時計会社。

Burlington Chicago Pocket Watch / alexkerhead


実際に、その当時の状況を考えるとスイスの時計職人達は生きた心地がしなかったろうと思う。
自分たちが必死に調整した時計より正確な時計が、よく分からない電子部品で何分の一、何十分の一という価格で売られる。
これには勝てない。
そうなると、自分たちは時計の品質を高め、今までの5倍、10倍の値段で売れる時計を作るしかない。
「そんな物を買う客が居るのか?」
顧客がどれだけ付いてくるかも分からない。
スイスは時計職人が昔からたくさんいるから、とか知った顔で言うのは正しくないと思う。
市場が破壊され、自分たちの生き残るところがそこしかないとなって、
そのうえで、職人達がそこにしがみついたからこそその成功があるのだと思う。

高付加価値になりきれなかった日本の傘

逆に高付加価値化を行わなかったのが和傘。(あるいは行って失敗した?資料見つからず)

Aka Wagasa / SF Brit

洋傘、ビニール傘のおかげで日本は世界で一番傘の消費量が多い
そのなかで和傘はもう作れる職人が日本に数えるほどしかおらず、いつ無くなってもおかしくないらしい。
和傘はその構造が複雑で、しかも手作業で作るために安くても3万円程度するという。
でも、逆に言うとその程度。
もし和傘が高付加価値化を追求して、高級和傘一本50万円也を持つことがステータスとなるぐらい市場で地位を確立できれば、
和傘の今の市場での位置づけも全然違ったのではないかと思う。


実際に傘では「高級ビニール傘」を扱う会社もあれば「世界一小さく折りたためる、折りたたみ傘」を作った会社もある。
日本は四季があり、降水量も多い。
「雨期」では無いので通り雨も多く、傘のニーズは高い。
またこだわりも強い。
「高級和傘」という生き残り方は決して荒唐無稽でも無いと思うんだが、どうなんだろう。


歴史の「if」を考えても意味は無いが、歴史から学べることはある。
次は今現在、衰亡の危機にある市場について、その分析を行ってみる。