日本に足りないのは、「面白い商品」じゃなく、「寛容な消費者」?
新商品の購入者層の分類で、「イノベーター理論」というのがある。
商品の発売〜普及段階ではそれぞれのフェーズで飛びつく人が一定割合でいて、
それぞれ以下のように分類されるというもの。
- イノベーター=革新的採用者(2.5%)
- オピニオンリーダー(アーリー・アドプター)=初期少数採用者(13.5%)
- アーリー・マジョリティ=初期多数採用者(34%)
- レイト・マジョリティ=後期多数採用者(34%)
- ラガード=伝統主義者(または採用遅滞者)(16%)の5つのタイプ」
(2→3の断層を「キャズム」といってこれはこれで深い話があるが、今日は取り上げない)
どれも昔から研究されている言葉、数字だが、最近この数字や考え方に疑問を持つようになった。
それはこの数字は国によって大きく違うんじゃないかということ。
ビバ、USA!
新技術や考え方が好きで色々見ていると、
「なぜこの技術は日本でできるのに、アメリカで普及をはじめたのか?」
と疑問に思うことがある。
現在開発中の技術でも、日本では手を付けられずにアメリカで莫大な金をかけて研究されている物もある。
成功した物ではインターネットや3D-CAD、研究中の物では先日取り上げた自動航行(オートクルーズ)。
3D-CADとはパソコンで三次元設計をするソフト(システム)で、大手は完全に欧米企業が独占している。
Synchronous Technology with Steering Wheel / Siemens PLM Software
最先端の設計は今時三次元が当たり前だが、その主要ソフトはトヨタでもSharpでも全部欧米製。
この3D-CAD、最初に作られたことは本当にワイヤーフレームが辛うじて表現できる程度のショボイ物だったらしい。
偉いのはその可能性を信じて、最初に導入した「イノベータ層」だと思う。
求む、人柱!
翻って日本ではこの「新しい物をとりあえず使ってやろう」という層が少ない気がする。
正確に言うと、そこに投資する人が少ないか、イノベータ層が長続きしない(飽きっぽい)。
イノベータ層とは言ってみれば「人柱」。
最初の商品なんて問題も文句もたくさんあって当たり前。
「まぁダメな部分は百も承知だが、それでも頑張ってるし使ってやるか」という層が少ないんじゃ無いかと。
そんな人柱な商品がいくつもあって、それを買うバカが一定数いて、そこから成功する物が出るんじゃないか。
この「多少は目をつぶる」という部分を許容しないと、面白い商品を出すベンチャーは潰れてしまう。
日本の消費者は目が肥えているのは結構だが、まずコンセプトに賛同して、初代機はそれ以外の部分に目を瞑ってもいいんじゃないか?
「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」というが、この外れる鉄砲はとても大切。
初代PlayStationが成功したのは、その開発費用の安さから有象無象の新規参入メーカがゲームを出しまくったことが大きい。
その際には業務用ゲームのメーカや、産業ソフトメーカの転身もあったし、
本家SONYが率先して「バカゲー」と言われる明らかに「外れる」鉄砲を撃ったことで市場の活性化と裾野の拡大に寄与した。
- 出版社/メーカー: エニックス
- 発売日: 1999/06/03
- メディア: Video Game
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あの、素晴らしい成功をもう一度
個人的にその「人柱」が一定数いて、かなり頑張ったと思うのが「willcom w-zero3」シリーズ。
W-ZERO3 / matsumur
3代目まで開発され、それなりの数が売れたが商品の完成度はとても100%とは言えない。
(あの当時としては最高の技術といって間違いない)
あれが今の技術で、今のタイミングで出せば結構使えると思う。
あ、もちろん買いましたよ。初代。
頑張って使ったけど、通信が遅いのとボタンが重いのが難点だったなぁ・・・
おもしろい商品はユーザが育てる。
そんな時代になれば、もっと面白い商品を日本初でどんどん出せるんじゃないかなぁ。
ちなみに最近成功したのは「ポメラ」「GOPAN」あたりかなぁ。
ただどちらも初代からあの完成度だから、あれをベンチャー的というのにはどうも抵抗が・・・
逆に何年経っても鳴かず飛ばずなのがオリンパスの「HMD(ヘッドマウントディスプレイ)」。
研究だけは一応続けているらしいが、最近じゃ商品も発売していない・・・
そろそろ旅だってもいいタイミングなんじゃないですかね、あれ。それを言い始めてはや5年、6年・・・