ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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伊那食品という働き方

仕事柄、工場には大小問わずあちこちお邪魔させていただいている。
これだけ色んな工場やメーカーにお邪魔しているのは、
工場好きからしたら羨ましかろうと思う。
実際、個人的にも工場大好きだし。
切削油の臭いとか妙にテンションが上がるし。


で、それだけ色んな会社に行くと「社風」って色々あるんだなぁ、というのがよく分かる。
しかも転職して、別の立場からお邪魔することもあると更に色々見えてくる。

伊那食品工業株式会社

その色んな会社に行った経験の中で、一番印象深いのは伊那食品(伊那食品工業株式会社)」
長野の人なら誰でも知っている、「かんてんぱぱ」の会社。
(長野出身の嫁も当たり前のように知ってて驚いた)
リンク → 伊那食品工業


日本で食品会社というと、業界としては結構「金のない」部類に入る。
アメリカには巨大食品会社もあるが、日本は一次産業が大規模化していないせいか、
食品会社で巨大な会社は少なく、市場も小さい。
小規模だと自動化の設備とかになかなかお金をかけられない。
(導入してもその導入費用の元が取れない)
ところが伊那食品は、
「工場の人が帰りに自社製品を買うためにシステムを導入する」
みたいな事に平気でお金をかける。
正直、たいした売上にもならないし、人を一人つけた方がコストも安い。
「だって、そこに人をつけたりすると、その人が大変でしょ?」
ぐらいの理由でシステム購入をしてしまう。
ここまで従業員のことを第一に考える会社って、実は他に見たことがない。

実は有名、伊那食品

伊那食品は「従業員の幸せを第一に考える会社」として
取り上げられるほど、福利厚生に力を入れていることで有名ではある。
でも、それは「養護施設を建てました」といった上からの話なんじゃなく、
細かいところで社員の事を気遣って、結果みんな本当に会社が好きなんだということが、実際に行くとよく分かる。
リンク → 「企業は“成長しすぎない”のが長生きの秘訣」


例えば訪問すると、茶菓子で新製品を出される。
ここまでは食品会社なので普通に考えられる範疇。
次に、それを持ってきた受付のお姉さんが、その新商品の魅力を熱く語る。
これはなかなか無い。
そして打合せ。
打合せでも、打合せの内容とは関係なく、
「ところで・・・」
といってその打合せの担当者が茶菓子の新製品について熱く語る。
つまり、みんなその会社が、その商品が好きなんだな。
これが凄いことだと思う。

パールホワイト企業

会社が「ホワイト企業」か、ブラック企業かなんて言い方をされるけど、
その括りで言うなら伊那食品は最高にホワイトな「パールホワイト企業」だと思う。
ただ、それができるのも会社がきちんと利益を上げているから。
伊那食品のコンセプトは「会社を大きくしない」
ひたすら実直に、寒天を極めて、無駄に拡販したりしない。
会社を拡大していくと、いつか縮小する段階が来たり、従業員の高齢化がある。
ある程度成立した人員構成で会社を維持させられるなら、その会社は永続できるかもしれない。


伊那食品がなぜあんな会社になったのかはどれだけ考えても分からない。
伊那食品のような看板を掲げても、実際の社員は同じ方向を向いてないこともある。
なぜあれだけ浸透できるか、これは大きな課題だと思う。
そして、あの方向でなければ、社員の幸せを第一に考えられないのか、ということも分からない。
ただ、一つの完成形として、あの会社の雰囲気は、憧れではある。