カリブーの肩甲骨占い
ある本のコラムで「カリブーの肩甲骨占い」というのが紹介されていて、なかなか面白かったのでご紹介。
本自体は面白くなくて かなり流し読みだったので、そちらは無視の方向で。
カリブーの肩甲骨占い
ネイティブアメリカンのナスカビインディアンは獲物を狩りに行く方向を、
カリブーの肩甲骨を火にかざし、そのひびを長老が見て占う。
Native American Heritage Day0297 / Grand Canyon NPS
占いに頼る意味
情報が少ない中では議論は意味をなさないし、それが失敗したら責任問題になる。
占いを間に介在させる事で、個人が責任を取らない体制ができる。
いつ占いをするか
面白いのは、前の日に狩りに成功しても、翌日はその方向に行かず、やはり狩りの方角を占いで決めるという事。
これにより狩りに行く方向を分散させて、獲物の乱獲を防ぐ事が出来ているらしい。
永続性のための知恵
この話は組織論や戦略論の中では、意思決定の優れた手法として紹介されている。
侃々諤々の議論をするより、情報の少ない中ではとにかく意思決定することが重要。
また、「占い」では間に神を介在するので、その責任が個人にかからず、意思決定がすぐにできる。
A committee, including David Dubinsky, Robert Wagner, and Jacob Potofsky, meet at City Hall to settle the New York Teacher's dispute. / Kheel Center, Cornell University
だが、ネイティブアメリカンの重視するものを考えると、もう一つの重要性が浮かび上がってくる。
彼らが重視するのは、効率や漁獲ではなく、永続性。
日本やアイルランド、アラスカ、アメリカなどアニミズムの文化では、人間も自然の一部と考えることが多い。
その場合、自然の一部として、いかにそのバランスを崩すこと無く
「狩りを永続させられるか」という視点が狩りの仕組みに備わっていると考える方がスムーズに行く。
彼らだって馬鹿では無いのだから、
前の日に狩りに成功したところに行けば、成功率が高いのは分かっているはず。
でも、それではその場所の獲物を刈り尽くしてしまう。
だから、敢えて外れる確率が高い方向にも行って、「無駄足」を日常に組み込む。
Dice Isn't Just A Game; It's A Way of Life / dearoot
これが結果として、長く狩りを続ける仕組みに繋がっていると考えられる。