ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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脳を騙して儲けるな!

だいぶん前の日経サイエンスの記事。
アメリカで肥満が問題になっているんだけど、
今世界で肥満が問題になるのは、傾向としては「発展途上国」らしい。

肥満は既に贅沢病では無い

日本人は世界でも特殊で、女性の肥満度が異常に低い。
日本人の過度なダイエット指向が統計でも出ているという話。
海外ではいくらダイエット指向があっても、大部分の人は平均体重以上か、明らかな肥満。
日本とは全く違う。


ではなぜ発展途上国で肥満が多いのか?
これは「ジャンクフード」と「ジュース」が原因らしい。
特に「ジュース」。これがたちが悪い。

発展途上国で肥満が増える訳

自然環境では、水分を補給するとなると基本は食べ物か、水しかない。
そこで、動物は液体を飲むとそれを「栄養」とはカウントしない構造になっている。
人間もしかり。
ジュースやビールはがぶがぶ飲めるが、それで食事の量が減るわけではない。
食べ物は一定量食べると満腹になるが、飲み物はそうはならない。
これは動物の構造の問題。


どこの国でも、その国の独自の食べ物はあるが、
安価なジャンクフードやジュースはその国の市場に最初に送り込まれる。
特にジュースは既存の市場と競合しないことが多く、
どこの国に行ってもコカコーラの自動販売機は設置されている。
(ジュースは安価なので、治安の悪い地域でもあまり自動販売機が破壊されない)
ジュースを飲んで育った子供は、その栄養分がそのまま食事にプラスされるので
あっというまに肥満への道を進むという訳。
現代ではよほどの貧困国で無ければ、栄養の中身を問わなければカロリーは得られることが多い。
質の悪いカロリーだけを簡単に手に入れられるようになると、貧困なのに肥満という二重苦が発生する。

脳を騙す商法

肥満の原因がジュースにあると分かってから、世界的に清涼飲料は「ゼロカロリー」の方向に向かった。
ではその甘さを作っているのは何か?
これも脳が「甘い」と感じるが、栄養のない物質を使っている。
それって何なんだろ。


こういう「脳はおいしいと感じるけど、中身は何も無い」というのは正にタバコがやってきた道。
タバコもニコチンやタールを減らしながら味を維持しようと色々やっている。
しかしそれは脳を「いかに騙すか」なので、その際の物質が何かは公開されていない。
とある研究では「ニコチンとタールしか測定されていない」という裏をかいて
毒性の強いアンモニアなど100種類以上の化学物質で、ニコチンやタールの吸収率を上げたり、味を強く感じさせていたとのこと。
吸収率が上がっているのなら「ニコチン何mg」という表記自体が正しくないと言うこと。


こういう脳を騙す商法は短期的には良いが、本質的に良いとは思わない。
ジュースはスポーツドリンクや野菜ジュース、お茶に置き換わっていけば良いし、
タバコは電子タバコでも無煙タバコでも、本質的に害の少ない方に進めばいい筈。
「消費者のニーズが」なんて言い訳をせず、メーカーが団体で社会のニーズを変革していけば面白いのに。
まぁ、そう考えるとジュースにせよタバコにせよ、世界的にはメジャー企業の寡占だもんな。難しいところで。