ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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「悪いことから報告する」ということ

会社に入って最初に教えられることの一つに、
「悪いことから報告する」というのがある。
そうじゃない会社もあるかもしれない。
でも、これはとても大事。


新人が現場に入って最初に苦労するのもここ。
「何をしていいか分からない」
「どうしていいか分からない」
があると自分で抱え込んでしまう。
10年社会人やってるといろんな人を見るけど、
何かあったときに抱え込むか外に発信するかで成長が全然違う気がする。


新人はできないのが当たり前。
でも小さい会社ほど教育の仕組みが無くて、すぐ現場に放り込まれる。
その時に、新人は失敗するとまず隠そうとしてしまい、更に状況が悪化する。
これは新人が悪いというより、それまで「悪いことから報告する」という事に
慣れていないせいだと思う。

「悪いことから報告する」意味

「悪いことから報告する」というのは、
「最悪の事態を避けるために、早い段階で対策する」という目的がある。


何か問題があったとき、
それが早い段階で報告されていれば傷が浅いうちに対処できる場合が多い。
特にクレーム案件は担当者レベルではなく、
上司・部署、場合によっては会社単位での対応を早急に取る場合がある。
つまり「最悪の事態」をイメージすれば、「早い段階で悪い報告をする方が傷が浅い」ということがある。
特に新人は問題の深刻さがイメージできないことも多い。
それは資質とか能力というより、経験の問題。
だからこそ、些細なことと思っても、どんどん報告しなければいけない。


例えばお客様から
「見積もりまだ来てないんだけど」という電話が入ったとする。
これが既に「回答遅れ」というクレーム。
ここで「すぐ出します」と対応できればいいけど、
上司の値引き承認が出るまで待って二日後にやっと回答すると、
クレーム対応としては問題になるし、
「あの会社は見積もり一つでも回答が遅いし、他の会社にしよう」
とお客様が離れていってしまいかねない。
最初のクレームの時点で上司に「あの値引き承認の件、早く回答をくれと連絡が入っています」
と一言発信すれば、
「あそこは大事なお客様だから、遅れた件でオレから一言詫びを入れておくわ」
と上司が言ってくれるかもしれない。

  • 何の報告も無し → 会社の信用低下
  • 悪い報告あり  → スムーズな対応で信頼回復

報告の一つでこれだけ変わることもある。
そして実際、こんな話が良くある。

なぜ「悪い報告」が出来ないか

「悪い報告をしろ」といってもなかなか出来ないのは、いくつか理由がある。

  • 今まで教えられていない
  • 「悪い報告」をすると怒られる
  • 「悪い報告」をするメリットがない
今まで教えられていない

これは地味に大切なことで、会社での考え方と、学校での考え方が違うのが問題。
生まれてからずっと学校教育しか知らなければ、会社に入って戸惑うのは当たり前。
それを「最近の新人は勉強していない」と断じるのはちょっと可哀想。


学校では「リスク」の考え方を通常、習わない。
テストでは「問題」→「回答」という1:1の対応が明確で、「正しい」「間違い」が明確。
ここでは「理解」し、「答え」を出す事が求められる。
でも、会社はそうじゃない。
「問題」はあっても原因も対応も分からないことも多いし、
「理解」する前にみんなに発信して、とりあえずの「対応方法」を出す必要がある。
それは単純な先延ばしであったり、足掻いていたり、煙に巻くだけの時もあるけど、
とにかく動き続けるのは大事。
とにかく動いて、みんなで考え、その中で最終的な対応方法が決まっていく。
最終的な結論だって「正しい」かどうかは分からないことも多い。
会社(社会)で求められるのは「最適解」であり、「正解」ではない。
この違いは結構重要。

「悪い報告」をすると怒られる

意外にあるのがこれ。
「報告がない」と怒るくせに、いざ報告すると「何でそんなことも出来ないんだ」と怒る。
まぁ、こういう人は報告すると文句を言いながら対処してくれるんだけど。
でも人間怒られるのは嫌なモンだから、怒られると分かれば先延ばしにしたくもなる。


ベテランになれば怒られるのが分かっていても報告、ということが出来るかもしれないけど、
悪い報告をすると怒る・評価が下がるのは間違い。
報告を早く挙げたことを、報告を受ける側も評価したければいけない。
「若い者が報告しない。報告の重要性が分かってない」と文句を言うのなら、
報告を受けるあなたも重要性が分かっていない。
こういう場所では、分かっていない加減はどっちもどっち。

「悪い報告」をするメリットがない

家の続きにもなるが、悪い報告は仕事上は「良い情報」に分類される。
たとえ自分のミスでも、悪い情報を「いかに早く挙げたか」は評価項目としなければならない。
人の動き方・働き方はインセンティブで結構簡単に、大きく変わる。
インセンティブってのは別に金銭じゃなくていい。
「昨日彼が、伝票のミスを素早く発信してくれたので部署全体が助かりました」
と朝礼で発表して貰うだけでも全然違うと思う。
「あ、悪いことを発信するのは良いことなんだ」
と分かれば、みんな積極的に発信するようになる。


こういう仕組み作りも、重要。

まとめ

4月になって、新入社員になって、まだまだどうしていいか分からない新入社員もいるだろうし、
「新人研修やっといて」といわれてどうしていいか分からない人もいると思う。
また最近新人を採り始めて、受け入れる仕組み作りがまだまだ不十分な会社もあると思う。


そんなところは、こういう「心構え」から考えてみる方がいい。
最初は目に見える「書類の書き方」「社内の処理の仕方」とかに目が行くけど、
「考え方」「心構え」がちゃんと伝わっていれば細かいことは何とかなる。
そして、それを出来れば明文化しておけばいいと思う。
これは、出来てない会社が多かったり、形骸化していたりするので。


新人君を見ていて気になったことを書こうとしたら長くなってしまった。