ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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HD DVD回収(交換)を決定したエディオンのしたたかな戦略

エディオンがグループ各社でHD-DVDBlu-rayに交換するサービスを開始すると発表し話題を呼んでいる。
東芝は在庫処分をして撤退すると発表しており、3月末までメーカとしては販売を行う。
しかし下流の小売店で早々に販売中止、のみならず「回収」という動きにまでなった理由は何か。
この動きをエディオンからみたメリット・デメリットとして考えると、エディオンのしたたかな戦略ではないか?と見ることが出来る。


まずエディオングループは現在家電販売業国内No.2、売上高は7,402億9,300万円(2007年3月期)。
「2005年度の家電流通市場規模は約7兆6300億円と推定」という記事があったので
おおよそエディオンの市場シェアを 7400/77000=9.6%、計算が面倒なので10%と推定する。
HD-DVDの交換対象と考えられるプレーヤ・レコーダの国内出荷台数は合計で

  • プレーヤ:1万台−平均単価  3万円程度
  • レコーダ:2万台−平均単価 15万円程度
  • (出荷台数は東芝正式発表より。価格は価格.comのデータから推測)

単純に市場シェアから推測すると今回の交換台数はエディオングループで「3,000台」となる。
交換にかかる人件費は除くと、実費は原価で計算して

  • プレーヤ:1万台×3万円×10%(シェア)×0.6(原価)=1800万
  • レコーダ:2万台×15万円×10%(シェア)×0.6(原価)=18000万
  • 原価合計:1億9800万円あれ?こんなもん?



実際には「回収」ではなく「交換」なので、これと入れ替えてBlu-rayドライブが出荷される。
つまり物の流れを確認すると、

ということで「HD-DVDが最初から出荷されていない」というのと同じ状態になる。
しかも、これは推測だが交換で購入するBlu-rayは店頭での価格交渉がほとんど行われないのではないだろうか。
例えば店頭で15万、と表示されているレコーダを購入するとき、5000円なり10000円なりの価格交渉は行われると思う。
でも、15万のHD-DVDレコーダを13万に値引きして買っていて、交換で15万のBlu-rayにしてもらおう、と言う際に
差額の2万円だけ払ってくださいね」
と言われるとその金額の閾値は非常に低くなるのではないか?
つまりエディオンとしては購入の際の値引率を下げることが出来る施策なのかもしれない。


最後に回収したHD-DVDは再度店頭には並べられないが、そのまま廃棄するのだろうか?
中古業者が買うことも難しいとは思うが、そこでいくらかでも金になるのなら回収コストは下げられる。


何より2億かけて回収する、といってもその「回収・交換する」宣言のインパクトが非常に大きい。
CM枠を一つ買うのにも数百万、数千万。
一つの商品を告知しようと思うと3億程度のコストがかかるといわれている。
今回はCMを作る必要も無く、告知はテレビ・ネットをはじめとする各メディアが勝手に行ってくれる。
これほど効果的な広告戦略は無い!
第一計算上は2億のコストだが、実際には持ってこない人という「未回収層」が必ず存在するわけで、
わざわざ持ってくる人が60%いるとしても回収費用は2億×0.6=1.2億。
多分どう転んでも今回の話はエディオンの戦略勝ち


この手の話は追従してもインパクトが無いし、とにかく早く宣言したもの勝ち。
数字で検証すればするほど今回の話はうまくやったなぁ、と感心する。