ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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*着物について考えてみた

着物とは何なのか。当たり前のことについてちょっと考えてみた。
定義についてとかじゃなくコンセプトについて。
洋服は新しい素材や技術によってどんどん着易くなるし、デザインも変わっていく。
でも着物は100年ぐらい進化していない。
デザイナーがデザインした着物、といってもそれは柄のデザインなわけで
機能的なところではなにも変わっていない。
たとえば以前歌手のhitomiが新しい着物を自分でデザインして歌っていたけど、
ああいうのは「ステージ衣装」としてしか見られていなくて、新しいコンセプトの着物が一般に受け入れられることは無い。


何度も言っているが、今「着物」と言われているものはオーダーメイドの高級なスーツに近い。
男物の着物は安い、と言っても作ると普通に30万とか50万とかする。
もちろん作り方も工場も古くてコストダウン努力が足りていない、
と断罪してしまうことは簡単だけど、こういう伝統的な作り方を大事にしていかないといけないのも事実。
問題はこういう高級品しか市場に存在しないことだと思う。


世の中にはフォーマルなスーツもあればカジュアルなジーンズがあったり、
Tシャツからカッターシャツ、セーターにジャンパーにといろんな服がある。
でも着物はここ100年進化していないし、新しい素材もほとんど使われていない。
新しい素材の着物、新しい形で簡単に着られる着物、そんなのが「トラディショナル着物」と
平行して存在しないと、市場としてみた場合の着物は残っていかないと思う。

着物って一つなのか?

着物、と言われる物は男物に限って言えば
今は「着物」「浴衣」、後は「作務衣」を初めとした数種類の作業着。
それだけ。
作務衣で外を歩いている人もいるけど、あれは元々外着じゃないし、まだ受け入られてもいないと思う。
しかしああいうのを増やしていって、最上級に今の「着物」を置くジャンルとして着物を成立させないとだめだと思う。
その下の階級として、昔であれば作業時や町民が着ていた普段着の着物があるはず。
それを今風に復活させないといけない。


条件としては

  • 今の生活スタイルに合致するだけ機能的
  • すぐに着られる、脱げる(面倒さを感じない)
  • 安い

最低限、これを満たした物を導入しないといけない。
「普段着物」としてそういう着物を扱っているお店があるんだけど、ちょっと検索して見つからない・・・
綿の一重で、重ねて着る着物とのこと。
一重だから洗濯できるし、寒ければ気軽に重ねていけばいい。(昔の十二単とかの考え方)
現代生活へのアレンジとしては袂を絞って腕が動きやすくしたり、
着物に合わせたズボンを作って物を入れられるようにしたり。


これが正解、と言うわけではないけど考え方はかなりいいと思う。
後は宣伝。これが受け入れられるだけ広めていかないと、着物業界の衰退は止まらないと思う。
今風に生産体制やデザインを見直し、着物を安くするのは基本だけど、それで裾野を多少増やしたところで
着物の衰退は避けられるとは思えない。
もっと根本的にジャンルを作り直し、カテゴリとして裾野を広げていかないといけないと思う。
最後に大事なのは世界戦略。
どんな形であれ世界市場に「着物」というジャンルが出られたら・・・面白いと思うけど。
衣類を新しく提案するのは難しいのは分かっているけど、なんで洋服はこんな世界に広がったのかな。
機能性?それだけじゃないと思うんだけど。
こっちの思考実験も面白そうだ。