ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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「環境にいい」とか「エコ」とか言うにはちゃんと背景とか勉強しないと

先だっての「エコバッグ売りやがれこの野郎」みたいな本末転倒なわけの分からないことになりますよという思考実験。


太陽電池」はシャープが1000億かけて工場建てると言ったあたりからニュースで急に出るようになりました。
シャープのCMで太陽電池の話を入れ始めたことも大きいのかな。
とりあえず太陽電池は「電池」では無く、あくまで発電するだけです。だから「太陽光発電」という言い方のほうが正しい。
揚げ足取りではなく、これは結構重要。
太陽光発電は太陽のあるときだけ、風力発電は風のあるときしか発電しません。
まさにお天気任せ。
こんなもんで家庭の電力をまかなうわけには行かないので、もちろん今までどおり電力会社からの送電線は残します。
太陽光発電の発電量が多かったら、家庭で余った電力を電力会社に売ることもできるんだけど
そっちもいろいろややこしい話があって、とりあえず今日は触れない。
とりあえずこの「運任せ、成り行き任せ」の発電機、そのままじゃろくに使える電力にならないので
電圧を調整する機械を入れたり、非常用電源として使うなら電池も必要です。


この「電池」。
電池って原理的には最初のボルタ電池とかから基本的に変わっていなくて、化合物を反応させて電気エネルギーを取り出す、という仕組みです。
じゃ、家庭の電力をまかなうためにとりあえず安い電池を揃えてみる。
というときに、「安い電池」というと多分まずは「鉛蓄電池」があります。
自動車のバッテリーとかに使われているやつね。よく使われるので安い。重いけど、家庭用なら問題ない。
ただこの鉛蓄電池、主な部材は「硫酸」と「鉛」。
ん〜、もし「環境負荷」という言葉を知っていれば、たぶん本当は使いたくない部材だなぁ・・・
とまぁこんな部品があるわけです。
ちなみに欧州「RoHS規制」では鉛の使用が禁止されていますが、鉛蓄電池に関しては規制対象になっていないそうです。


実際電池というのは曲者で、結局「強力なパワーを秘めた物質」を部材に使えばよいわけです。
つまり効率の良い電池ほど、危険性が高い。
値段や重量の理由もあるでしょうが、なんで環境配慮車であるはずのトヨタプリウスで高出力なLi-ion電池を使用せず、
ニッケル水素電池を使用しているのか、という理由です。
電気自動車が作れない理由、発電所が電気を貯めず余った電気は捨ててでも24時間発電所を稼動させる理由、
携帯電話の使用時間が今ひとつ延びない理由、結局は全部電池の問題に行き着きます。
期待されている「燃料電池」は「電池」と言いつつ、実際は燃料を積んで発電していることからしても、
電力を貯める、という意味での「電池」は原理的に進歩していない。
またそれを変革する新技術・新理論も今のところ出ていないということになります。


そんなちょっと絶望的な環境の中でどう環境に配慮した生活をしていくのか。
環境について考える、というのはこういう技術上の限界をまず理解するところから始まると思います。
だから自動車に乗らない、だから太陽光発電風力発電と何かを組み合わせてバラつきを減らす、だから昼に電力を使わず夜に洗濯する、等々。
なんかみみっちい話にどんどんなっていくのは何ででしょうか。
本当はもっとパッとした話をしたいんですが。
いや、以前は「宇宙で太陽光発電したら地球に発電所がいらないじゃないか」とか大きいほうに話を考えていたんですが、
どうも「家の屋根を太陽光発電にしたら光熱費ゼロ」とか極端な言い分ばかり目に付いて、
控えめ控えめに潰していかないとな、と考えるようになりました。