実を言うと本はもうだめです。突然こんなこと言ってごめんね。でも本当です。
今更感が強いんですが、この記事が話題になっていました。
記事を非常に乱暴にまとめると
「悪いのは今までちゃんと対策してなかった書籍業界である」
として、出版社・取次・書店すべてに責任があるとしています。
これは本当に仰るとおりで、Amazon日本法人の設立が1998年。
Amazon.co.jpのサイトオープンが2000年、2010年時点で売上50億ドル強だそうです。
つまり2010年時点で5000億円を日本で売り上げている巨大企業に対して、
日本の出版業界は一致団結した対策を打てていなかったということです。
この間、世界では新聞社で大きな流れが出ています。
2006年から2007年に掛けて、アメリカの大手新聞社がネット企業や不動産会社に次々買収されました。
2006年に「ナイトリッダー」がマクラッチーに買収されたのを皮切りに、
2007年には「ウォールストリート・ジャーナル」を発行する「ダウ・ジョーンズ」と、「トリビューン」が買収。
ネットでニュースを読むようになり新聞の購読数が減少、これが経営を直撃したというのが背景です。
「紙から電子へ」の流れはこの時点でかなり本格化しています。
ちなみに電子書籍に関してはKindle第一世代の発売が2007年。
正直この段階ではそれほどうまくいく雰囲気ではなく、これ自体に脅威はそれほど感じなかったとしてもおかしくありません。(当時はSony のReader始め競合が多数ありました)
しかし正に同じタイミングで、大手新聞社が買収される事態が起きている。
この「書籍は別」「日本の新聞社は大丈夫だった」という自己認識が、日本の書籍業界にとっては重要な分岐点だったのではないでしょうか。
電子書籍は何度かの「電子書籍元年」を経て山谷を繰り返しつつ広がっているので、
「ここが契機」というのは難しいです。
ただ長期の比較を見ても90年代から書籍は継続的に減少傾向なのは統計でもはっきり出ています。
結局のところ、上の記事のように出版業界はガタガタで未来は暗いのは間違いないでしょう。
出版業界の動きも、本が売れた豊かな時代の仕組みを維持する前提であれば、様々な仕組みやコストが時代にそぐわないのは当たり前です。